西成区の治安「実は良好」? 過去と現在の違い、住みやすさを解説!

大阪市西成区は市内南西部に位置しており、商業・住宅・工業地域が混在する多面的な要素を持った街。区域には南海線、大阪メトロ御堂筋線・四つ橋線・堺筋線、JR大阪環状線、阪堺線、阪神高速が通っており、交通網に長けた利便性の高いエリアです。

交通便が良く関空まで最短約35分で行ける西成区ですが、大阪で生まれ育った人でも足を踏み入れるのに躊躇する、危険なイメージのある街。とくにかつての「あいりん地区」には日雇い労働者や訳ありの身元不明者が大勢集まり、ドヤと呼ばれる簡易宿所が街中に建ち並ぶ不穏な空気が漂うエリアでした。

しかし時代が昭和から平成、令和へ移行するとともに労働者の数は激減し、簡易宿所は海外のバックパッカーや観光客向けのリーズナブルな宿として変化。物価や家賃の安さから若い世代の移住者が増加し、良い意味での活気を取り戻しつつあります。

そこで今回は、大阪市西成区の治安面ついて徹底解説。区内の各エリアも詳しくご説明していきますよ。また近隣エリアで気軽にお試し住みできるマンスリーマンションの情報もご紹介。ぜひ最後まで読んでお部屋探しの参考にしてみてくださいね。

「西成区の治安が悪い」はホント?

「西成区は治安が悪くて怖い街」という世間のイメージは本当でしょうか。そのような印象が定着してしまった理由と、現在の西成区における本当の治安について、実際に住んでいる方の口コミを交えながら解説していきましょう。

「西成区は治安が悪い」と思われている理由

昭和からバブル崩壊の平成初期にかけて、新今宮駅の南部にあたる「あいりん地区」には全国から日雇い労働者が集まり、簡易宿所が並ぶドヤ街では暴動や事件がたびたび勃発。道端や公園にはホームレスが住み、違法薬物やゴミの不法投棄がまん延していました。

その様子がテレビなどで取り上げられるたびに西成区全体が怖いイメージを持たれることとなり、今でも良い印象を抱かない方が多いようです。しかし2013年、大阪市による「西成特区構想」が開始。暴力団や不法投棄の一層、違法薬物の摘発などが行われ、街中に防犯カメラが多数設置されました。

また労働者の高齢化に伴い簡易宿所は海外観光客を対象にしたゲストハウスへと移行し、街全体の雰囲気は向上。若者の流入やNPO・ボランティア団体の地域活動などによって以前の閉鎖的な街から開けた地域社会へと変化しています。

西成区の犯罪件数

2023年に西成区で確認された刑法犯罪件数は計2,251件でした。主な内訳は以下の通りです。

凶悪犯 粗暴犯 窃盗犯 知能犯 風俗犯 その他
認知件数 35 181 1,594 116 28 297

(参照:2023年度 大阪府警察刑法犯罪種及び手口別発生市区町村別認知件数)

大阪府警や地域住民らの努力により、西成区の治安は以前よりはるかに向上しました。しかし犯罪発生率は市内24区の平均よりも高く、今でも危険なエリアは存在します。とくにスリやひったくりといった路上窃盗犯罪が多発しており、一人で歩く時は注意が必要です。

ただし西成区は治安が悪い一部エリアを除けば下町情緒あふれる住宅街。新しいマンションが増加している地域では、子供のいるファミリー世帯も多く暮らしているため治安は安定しています。同区内に住む際は各エリアの治安状況を確認しておきましょう。

実際に住んでいる方の口コミ

ネット上には西成区の住みやすさに驚く声がいっぱい。とにかく何でも「安い」ことが高評価につながっているようです。昔のイメージによる先入観を持たない若い世代が、都心部へのアクセスが良く利便性の高い西成区に魅力を感じているのでしょう。

現在の西成区は、安くて美味しいB級グルメが楽しめる地としても人気上昇中。大阪有数の観光地である新世界に近いことから、外国人の姿もよく見かけます。値上がり続きの昨今、家賃や物価がリーズナブルな同区は今後もますます注目されていきそうですね。

西成区で「住んではいけない」エリアは?

西成区内で治安が心配な「住まいに適さない」地域をご紹介。以前より治安が良くなったとはいえ、今なお近寄り難いエリアは存在します。しかし家賃や雰囲気、交通便など住まいの優先順位は人それぞれですから、あくまでひとつの特徴として参考にしてくださいね。

あいりん地区

新今宮駅から動物園前駅、荻之茶屋駅、今池駅に囲まれた一帯を指すあいりん地区。かつて釜ヶ崎と呼ばれたドヤ街は治安も街並みもかなり改善されたものの、現在でもホームレスが多く暮らしており道にゴミが散乱するなど景観の悪さが目につきます。

また同地区は日雇い労働者や身元不明者が多い地域であり、犯罪の発生率も高めです。海外の観光客や若者の移住者が増えつつありますが、治安面に関してはまだまだ不安が大きいため、家賃の安さだけで住むのは要注意でしょう。

飛田新地

あいりん地区の東側、天王寺公園から南へ歩いて数分の場所に立地する飛田新地は、大正時代に築かれた日本最大級の遊郭です。一見普通の料亭街ですが、店前では日中から呼び込みが行われており、撮影禁止や女性のひやかし厳禁など独自のルールが定められています。

とくに犯罪が多い危険な場所ではありませんが、周辺は遊郭目的の男性客が多いため女性の一人暮らしにはオススメできません。東へ行けば阿倍野区、南へ下れば天下茶屋と住宅用マンションが多いエリアは近くにたくさんありますよ。

木津川駅

同区の北西端に位置する南海汐見橋線の木津川駅は、木津川に面したのどかなエリア。治安や景観がとくに悪いわけではありませんが、汐見橋駅から岸里玉出駅まで6駅間を運行する汐見橋線はどこへ行くにも乗り換え+徒歩を挟まなければなりません。

徒歩圏内に大型スーパーが1店ありますが、駅前には倉庫と工場が数軒あるのみでコンビニも近くには見当たりません。しかし自転車を活用すれば難波や天王寺、大正まで30分かからず移動できるので、同地で暮らす際は自転車が必要不可欠ですよ。

西成区で「住むのにオススメ」エリアは?

ここからは西成区内で住まいにオススメのエリアを3つご紹介。交通便が良好で商業施設が集まる住みやすい街ばかりですよ。また大阪の下町ならではの人情味あふれる街並みが西成の味わいですから、それらの特性をよく理解したうえで選んでくださいね。

天下茶屋駅

南海本線・高野線と大阪メトロ堺筋線が乗り入れる天下茶屋駅の周辺は、昔ながらの古い戸建てと新しい大型マンションが混在する住宅街。駅直結の商業施設にはスーパーやドラッグストアが入っており、帰宅途中にお買い物ができて便利ですよ。

駅を中心に再開発が進む一方で、「天下茶屋商店街」や「岸里玉出商店街」といった古くから地元住民に親しまれてきた場所も残っており、随所に漂う昭和感にほっと安らぎます。また公共機関や学校、公園が点在していて家族住まいにもオススメです。

天下茶屋駅のアクセス環境

南海線でなんば駅へ約5分、梅田駅へ乗り換え1回で約20分。特急ラピートに乗車すれば関空まで最短約32分で移動できるので、出張や旅行が頻繁な方に便利でしょう。地下鉄堺筋線なら北浜や堺筋本町といった市内のオフィス街へ乗り換えなしで通勤可能です。

堺筋線は阪急京都本線と相互直通運転を行っており、京都河原町駅まで約1時間4分。休日は気軽に京都観光へ出かけられますね。大学のキャンパスが集まる吹田市千里方面へもつながっているため、通学にも使いやすいでしょう。

天下茶屋の魅力ポイント

天下茶屋の魅力はアクセスの良さと商業施設の豊富さ、再開発によりきれいに整備された新しい街並みです。また居住費、物価ともに市内のほかエリアより手頃なのもメリット。地域コミュニティによる防犯活動が積極的に行われており、治安面も安心です。

再開発エリア外の場所には古い建物が並ぶ下町の雰囲気が残っていますが、それも天下茶屋の味わい深さ。商店街や居酒屋、立ち飲み屋の間にオシャレなカフェが建つなど新旧混在する面白い街ですよ。ファミリーだけでなく単身者にも適したエリアです。

岸里駅

大阪メトロ四つ橋線が走る岸里駅は徒歩圏内に南海本線の岸里玉出駅もあり、場所によっては複数路線が利用できる交通便の良い街。四つ橋沿線の中では家賃がかなり安い地域で、単身者用のお部屋なら6万円前後から見つかるお得さが魅力です。

駅の近くには安さが売りのスーパー玉出やサンディ、数店舗のドラッグストアがあるため生活費の節約に大助かり。駅周辺にビルやマンションが建ち並び、大通りから中に入ると昔ながらの戸建て住宅街が広がっています。

岸里駅のアクセス環境

地下鉄四つ橋線でなんば駅へ約6分、西梅田駅へ約15分といずれも乗り換えなしの直通。朝のラッシュ時間帯も岸里駅からは座れる確率高めです。西梅田から大阪駅へは歩いて5分程度なので、JR在来線で府内外へ最短時間でアクセスできるのも高ポイントですよ。

南海本線を利用して天下茶屋駅で特急に乗り換えれば、関空まで約41分。荷物が多い出張時にも助かりますね。堺市方面や和歌山へも一直線で行けるので、近畿南部へ移動することが多い方にも使い勝手が良いでしょう。

岸里の魅力ポイント

岸里に住むメリットはなんといっても生活費を安く抑えられるお得感。居住費が安いのはもちろん、駅付近に食料品が激安のスーパーが2店舗あり、24時間営業のスーパー玉出ならいつでもお買い物ができて忙しい時に重宝します。

また梅田と難波という市内2大ターミナルへ乗り換えなしで行ける交通便も魅力。天王寺駅へも15分内でアクセス可能ですよ。地下鉄と南海線を上手に使い分ければ所要時間をかけることなく各地へ移動できるでしょう。

玉出駅

大阪メトロ四つ橋線の玉出駅は、上記でご紹介した岸里駅から1駅南に位置しています。梅田と難波の両エリアへ乗り換えなしで行ける交通便にもかかわらず、岸里と同様に家賃相場がワンルーム6万円前後というコスパ抜群の地域ですよ。

街中には「玉出公園」などの憩いスポットや小中学校、神社などが点在しており、「千本松渡船場」から乗船して木津川を渡れば大正区へ移動可能です。24時間営業の激安スーパー玉出や「玉出本通商店街」があり、日常生活に必要なお買い物に役立つでしょう。

玉出駅のアクセス環境

地下鉄四つ橋線で難波へ約8分、梅田へ約17分。オフィス街の本町駅へは約12分でアクセス可能です。3駅とも乗り換えなしの直通なので、毎日の通勤通学がとてもラクですね。御堂筋線やJR在来線などほかの路線への乗り換えもスムーズです。

また岸里駅との間にある南海本線の岸里玉出駅も利用可。関空やりんくうタウン、堺や和歌山方面へのアクセスに大変便利です。徒歩圏内には路面電車の阪堺線・塚西駅もあり、住吉大社まで2駅約5分。大阪随一のパワースポットへ気軽にお参りに行けますね。

玉出駅の魅力ポイント

玉出が住まいにオススメの理由は家賃や物価の安さと交通便の良さ、そして高級住宅街の帝塚山に近い立地柄、閑静な住宅街で穏やかな暮らしが叶うことです。駅西側の工場地帯や高速道路付近を避ければ、子育てにも最適な静かな住環境が得られるでしょう。

また南海線の駅周辺には人気の高い飲食店が集まっており、一人暮らしの外食にぴったり。低価格がうれしい地域密着型の食堂や居酒屋も多く、地元の人情味や温かさを感じられる街で暮らしたい方にオススメですよ。

マンスリーマンションのお試し住みで治安確認がオススメ!

今回は大阪市西成区の治安面について詳しく解説しました。危険なイメージが根強い街ですが、市や民間の再生計画によって治安も住みやすさも劇的に向上しつつある注目エリアですよ。ただし自分にとって居心地が良いかは、実際に住んでみないと本当のところはよく分からないかもしれません。

そんな時はマンスリーマンションで期間限定のお試し住みがオススメ。家具家電付きで大がかりな引っ越しが必要ないので、気軽に新生活をスタートさせられますよ。ぜひ実際に住んでみてその地域のリアルな治安を確認してくださいね。