憂鬱な単身赴任。実はメリットも多数?20年前との違いや拠点選びのポイントを解説。

会社からの辞令で遠方への異動が命じられた経験はありませんか。家族を連れて転勤をするか、一人だけで単身赴任するかを選ぶ必要がありますよね。転勤は家族全員の生活環境が変わるため、子どもやパートナーへの負担が心配です。だからといって、単身赴任は家族と離れるデメリットが大きく、即決するのはなかなか難しいでしょう。しかし、単身赴任はメリットがあると感じる方もいるのです。

今回は、意外にもメリットがある単身赴任について詳しく解説します。20年前と現在では、単身赴任の捉え方に変化が起きているのでしょうか。拠点選びのポイントも合わせてご紹介しますので、単身赴任中の暮らしをぜひ満喫しましょう。

単身赴任経験者はどれくらいいる?

単身赴任をするという状況。かなり珍しいことだと思っていませんか?オンライン旅行会社の調査によると「自身もしくは家族が単身赴任になったことがある」と回答した方が全体の50%以上を占めているそうです。単身赴任は誰にもありえる人生のイベントなんですね。

転勤の辞令が出た方の中では、男性が単身赴任を選択するケースを多く見られました。その理由には2つ考えられます。まず1つめは女性が単身赴任になる状況が少ないこと。先ほどのオンライン旅行会社の調査では、男性の単身赴任経験者は全体の半数を越えていましたが、女性の場合は10%にも達していません。社会状況的に、まだまだ「女性の単身赴任」へのハードルの高さが伺えます。

単身赴任を選ぶ2つめの理由は、家族の存在でしょう。転勤がきっかけで家族全員の生活環境が大きく変化することや子どもやパートナーへの負担などを軽減するために、単身赴任を選ぶ方が多くいます。

単身赴任? 転勤? 20年前と今の実態

単身赴任か家族そろっての転勤か。家族がいる方にとって、どのような暮らし方をするのかはとても悩むポイントですよね。1990年代は、単身赴任より家族そろって転勤するケースが多く見受けられました。「アート引越センター」が1998年に実施した調査では、家族で一緒に暮らす転勤形態が全体の85%を占めていました。単身赴任を選んだ家庭はわずか15%しかいません。20年以上前は「転勤では家族そろって引っ越しをするもの」のような考えが当然として受け入れられてきた時代だったのでしょう。

2020年代に入り、家族で引っ越しするよりは単身赴任を選ぶ方が増えてきています。2022年には単身赴任の割合が50%を超える状態に。家族の生活環境が変化させないための配慮ではないでしょうか。その他に、会社から支給される手当額の変動も影響していると考えられます。

会社が赴任手当や引っ越し手当を支給するケースがあります。手当の支給額が20年前より減額しているところが多いのです。1999年には家族を伴った転勤には、20万円以上支給する会社が全体の50%近くありました。しかし2023年では、20万円以上も手当を支給する会社の割合が20%ほどに落ち込んでいます。家族で転勤するのは金銭的な負担が大きくのしかかるようになったため、単身赴任が増えているのでしょう。

単身赴任のメリット

単身赴任には、どのようなメリットがあると思いますか。急な辞令で戸惑う方も多いかもしれませんが、前向きに今後の生活を捉えましょう。

1人の時間の確保

家庭を持つ方が仕事や勉強など自分のことにばかり集中していると「好き勝手にしている」のような不満が家族内で出る恐れも。単身赴任している方も残っている家族も、自分1人の時間を確保できることが単身赴任の大きなメリットでしょう。離れて暮らしているからこそ、気を遣う必要がありません。

1人で過ごせる時間は、自身と家族のどちらにもストレスなく生活するために必要なものです。1人で過ごす時間を使って、仕事に打ち込んでさらに昇格することを目指したり、資格のために勉強したりもできますね。のびのびと自由に1人で過ごす時間が日常生活での気分転換になり、リフレッシュしやすい点も単身赴任の魅力です。

趣味に没頭できる

単身赴任先で趣味に没頭できる点もメリットです。自分1人で暮らしているため、どれだけ趣味に没頭していても家族に邪魔をされません。自分のペースで趣味に取り組めるため、日々の充実度を高められます。

カメラやゴルフ、プラモデル制作など個人で取り組みたい趣味は、さまざまなジャンルがありますよね。趣味に費やす時間が日常生活の一部になるほど、熱心に取り組む方も珍しくありません。単身赴任の任期が終わった際には、趣味に関連したもので大きなダンボールが複数埋まる方もいます。趣味に没頭することは仕事のストレスから解放され、心身のリフレッシュにつながるでしょう。

離れることで、家族愛が深まる

家族と離れて過ごすからこそ、絆をより深められます。頻繁に帰りにくい距離で会えない日があるため、再会の瞬間がより特別で嬉しく感じるのです。家族同士に感謝の気持ちや思いやりを芽生えさせるには、ピッタリの機会だと考える方もいるほどです。適度な距離感が、「価値観を一方的に押し付けない」「嫌な部分ばかりに目を向けない」など、夫婦としてのあり方を見つめ直すのにちょうど良いのかもしれません。

子どもが幼いときには、単身赴任している距離感が淋しく感じることもあるでしょう。しかしある程度子どもが成長すると、その距離感がちょうど良いケースもあります。たとえば、思春期を迎えた子どもがいる家庭を考えてみてください。とても多感な思春期は、子どもが異性の親に荒く接することもよく起こります。その複雑な時期に、単身赴任をしてたまに会うぐらいの距離感が良かった口にする方もいました。

家族の生活を守れる

家族が生活環境を変えずに過ごせる点も単身赴任のメリットです。子育ての真っ最中の時期に転勤を命じられたとき、家族をどうしたら良いのか悩みますよね。子どもたちが保育園や幼稚園、学校に通っている場合、家族そろって転勤をするなら転園や転校が必要に。

転園が必要でも、引っ越し先の保育園に入園できる保証はありません。家族そろって転勤しても、子どもを保育園に預けられないため、パートナーが仕事を止めざるを得ないリスクも抱えています。子どもにとっても慣れ親しんだ場所や仲の良い友達から離れるのは、かなりのストレスでしょう。

単身赴任は、家族の生活を守るための最善策。あえて単身赴任を選択することで、残った家族は今まで通りの生活を続けられます。

赴任先で、新しい価値観を養える

単身赴任先では、新しい価値観との出会いもあるでしょう。単身赴任の辞令がなければ、その土地で生活することはありませんでしたよね。新たな暮らしを通じて、その土地での価値観に触れられます。そのエリアならではの価値観や風習の体験が、今までよりも広い視野で物事を捉えられるようになるかもしれません。

たとえば、関西と関東では文化が違うと耳にした方も多いのではないでしょうか。エスカレーターで立つ位置が左右で異なっていたり方言があったりなど、関西と関東の違いは多岐にわたります。今まで住んでいた地域にはなかった風習は、とても新鮮に感じることでしょう。その新鮮さが単身赴任生活で刺激になり、充実した日々を送るのを支えてくれるのです。

単身赴任の手当がもらえる

手当を支給する会社があることも、単身赴任を選ぶ後押しになっているのではないでしょうか。単身赴任をすると生活拠点が自分と家族の2ヶ所に増えます。少しでも生活の負担を軽減するための手当です。

ただ気になるのは手当の相場ですよね。一般的な単身赴任手当額は厚生労働省が公表している「就労概況」を見ると把握ができます。

調査結果によると、2019年は、月約4.7万円の支給が相場です。続いて、会社の規模が異なると支給額に差があるのかを見てみましょう。

(参照:令和2年就労条件総合調査の概況・平成 27 年就労条件総合調査の概況)

会社の規模別に見てもそれほど差がありませんね。2019年は前回調査より平均相場が1万円ほどアップしています。

単身赴任のデメリット

単身赴任のメリットをたくさん見てきましたが、デメリットも存在します。デメリットもチェックして、単身赴任中の生活をイメージしてみましょう。

生活リズムの乱れ

生活リズムの乱れやすさは、単身赴任の大きなデメリットでしょう。家族がいれば、お互いに協力して家事を進められていたのに、単身赴任中はすべて1人でこなす必要があります。仕事がどんなに忙しくても家族が近くにいないため、1人で家事を抱え込むことで生活リズムが乱れがちに。食事面も疎かになりやすく、健康面に悪影響を及ぼすかもしれません。

1人で暮らす寂しさやストレスは、積もり積もった精神的な負担も生活リズムの乱れにつながります。生活リズムの乱れは、仕事のモチベーション低下を引き起こす恐れもあるでしょう。単身赴任中は特に生活リズムへの注意が必要です。

二重に生活費がかかる

生活拠点が2ヶ所になるため、生活費が2倍かかります。単身赴任手当を支給する会社があるとはいえ、その相場は約4.7万円です。相場の金額では「2倍になった生活費をカバーするには足りない」と感じる方が多くいます。

「アート引越センター」が2001年に実施した調査では、単身赴任者の1ヶ月の生活費の相場は12~14万円でした。家族が一緒に暮らしていたときの生活費にプラスして10万円以上の出費が発生するのです。生活費が大きく増えるのは、やはり負担に感じますね。

単身赴任先から家族のところへ帰省するのにも費用がかかる点もデメリットです。帰宅旅費を支給したり、週末に会議を入れて社費で帰宅できるように配慮する企業もあります。手当の支給回数に上限が決められているケースもあり、帰省時に発生する費用をすべてカバーするのは難しいでしょう。

家族にも負担がかかる

残された家族にも負担がかかる点も念頭に置いておきましょう。子どもがいる世帯では、残されたパートナーがワンオペで育児を担うことになるでしょう。

配偶者が単身赴任で不在のため、子どもたちの世話や勉強のサポートなどの日常生活の多くの場面で、1人で対応する負担がかかります。残ったパートナー側も働いている場合、仕事に忙しく追われる中、子育てに時間を十分に割けない点に思い悩んでしまうかもしれません。

夫婦間のコミュニケーションにも影響が出てくるでしょう。遠距離のため、対面でのコミュニケーションは難しいものです。帰省のタイミングで話し合いの場を設けても、かなり不便さを感じることに。単身赴任が長期化すると、夫婦間にストレスや負担が溜まり、円滑なコミュニケーションが難しくなるでしょう。

単身赴任はメリットを生かせる住まいで過ごそう

単身赴任の辞令は誰にでも起きるものです。避けられないのなら、少しでもメリットが生かせる住まいで過ごしませんか。たとえば、趣味に没頭できることが単身赴任のメリットですよね。趣味を満喫できるスペースがある間取りを選んだり、出かけたいスポットが近いところに住んだりなどを検討してみてくださいね。単身赴任先で、自分の時間を有意義に使えられる環境を整えるとストレスも溜まりにくいでしょう。

定期的に帰宅しやすいよう、交通の利便性が良い物件を選ぶことも大切です。交通の利便性が良いところなら、短時間で効率的に帰省できます。家と単身赴任先を往復しても体への負担もかかりにくいでしょう。

近隣にショッピングモールやレジャースポットがある物件を選ぶのもオススメです。気軽にお出かけできるスポットがあると、単身赴任中のリフレッシュやストレス解消に。適度なリフレッシュは、仕事へのモチベーション維持にもつながります。自分のライフスタイルに合わせて、メリットを最大限に生かせる場所を選び、充実した単身赴任生活を送るようにしましょう。

マンスリーマンションは選択肢が多くてオススメ!

単身赴任中に暮らすのは、メリットを生かせる住まいがオススメですが、どこで探そうと思っていますか。通常の賃貸やホテルなど、さまざまな住まいがありますが、中でもマンスリーマンションが一推し。ポータルサイトには選択肢が多く「住みたい」と思えるお部屋が見つかりやすいため、特にオススメの検索方法です。駅チカや築浅、ショッピングモール近くなど、多彩なお部屋を取りそろえています。

マンスリーマンションは短期契約を前提にした物件なので、辞令が終わったあとは帰省する単身赴任中の仮住まいにピッタリ。家具家電はお部屋にそろっているため、自分で用意する手間がなく、引っ越しの負担もほとんどありません。敷金礼金も不要なので、初期費用を大幅に抑えつつ、単身赴任生活をスタートできますよ。希望の条件からお部屋探しをしてみませんか。

この記事を書いた人

澤田なつ/Webライター

2016年2月までCADオペレーターとして自動車部品の図面作成をしていました。2019年からフリーランスのWebライターとして活動しています。
執筆するときは「読者が知りたいことに寄り添える内容になっているか?」を意識しています。資格は、2級ファイナンシャル・プランニング技能士と簿記3級、図書館司書を持っています。
小学生の娘が2人います。趣味は裁縫で、娘たちが好きなアニメのコスプレ衣装を作ることが好きです。
着付け師範の資格を2012年に取得しており、講師経験もあります。最近では着付けの様子を動画で撮って、Instagramに投稿することにはまっています。