マンスリーマンションを法人利用する際の注意点と会社の選び方
ビジネスホテルや一般的な賃貸物件と同様、法人利用されることも多いマンスリーマンション。社員の寮や一時的な滞在先、海外ゲストの宿泊先にするなど、その使い方はさまざまです。しかし、本当に使い勝手がよいのか分からなかったり、すでに利用中の会社に不満があったりする人も少なくありません。
そこで今回は、マンスリーマンションの法人利用を検討している企業やその担当者に向けて、マンスリーマンションを法人利用する際によくある困りごとや、選ぶべき運営会社の特徴をご紹介します。これらを理解すれば、企業にとって本当に使い勝手のよい運営会社が選べるでしょう。
マンスリーマンションを法人利用する目的とは?
マンスリーマンションを法人利用する目的は、出張者の一時的な滞在先にするためだけでなく、単身赴任者の中長期的な住まいにするためなど、多岐にわたっています。家具や家電が備え付けられているからこそ、あらゆる目的やニーズに対応しやすいのが、マンスリーマンションです。ここでは、大きく分けて3つの目的をご紹介します。
社宅や社員寮として
1つ目は、社員の社宅や社員寮としての利用です。とくに短い期間での転勤が多い社員や海外出張の頻度が高い社員を住まわせる先として、マンスリーマンションは便利です。家具や家電が備え付けであることによって、社員自身の持ち物は最低限必要なものに抑えられるため、引越しの手間も費用も少なく済みます。
出張期間が長い場合には、渡航前に一旦退去し、帰国後に再度入居するようにすれば余計なコストもかかりません。一般的な賃貸物件と異なり短期間からの契約ができるからこそ、ムダなコストを発生させない工夫ができるのです。またマンスリーマンションは単身赴任者の住まいとしても重宝されています。
研修・イベント応援などの一時的な滞在先として
2つ目は、出張や研修、イベント応援時における社員の一時的な滞在先としての利用です。寝泊りすることがメインのビジネスホテルは部屋も狭く、くつろげる環境とは言えません。他方、完全なプライベート空間かつ日常生活に近い環境が提供されるマンスリーマンションはくつろぎやすく、社員のパフォーマンスにもよい影響が期待できます。
海外ゲストの宿泊先として
3つ目は、海外から来るゲストの宿泊先としての利用。海外からの大事なゲストの宿泊先と言えばホテルを思い浮かべがちですが、日常生活に必要な家具・家電や設備が揃ったマンスリーマンションの方がホテルよりも快適に過ごせる、という声も少なくありません。サービスアパートメントとも比較されやすいですが、マンスリーマンションは豊富な物件数や割安な費用面から幅広く支持されています。
各宿泊施設を法人利用するメリット・デメリットは?
マンスリーマンションの利用を検討するときに比較されるのが、ホテルと一般的な賃貸物件。各宿泊施設を法人利用する際のメリット・デメリットを把握すれば、滞在期間やその他の条件と照らし合わせながら、会社にとって損のない施設を選べるでしょう。
ホテルのメリット・デメリット
ホテルのメリットは、連泊をしても毎日ベッドメイキングや掃除をしてもらえること。宿泊させる社員やゲストには、家事の負担を強いることなく、仕事に集中できる環境が提供できます。面倒な契約や初期費用の支払いもなく、数日から1週間程度の滞在であれば、一般的な賃貸物件やマンスリーマンションよりもお得です。
一方のデメリットは、室内にキッチンや洗濯機がないこと。自分で料理や洗濯ができない分、外食費やクリーニング代などの費用がかさみがちです。とくにビジネスホテルの場合は部屋も狭く、自宅のようにくつろげない環境面のデメリットも。観光シーズンには予約が取りにくく、宿泊費も高くなるため割高になる可能性もあります。
一般的な賃貸物件のメリット・デメリット
アパートやマンションなどの一般的な賃貸物件を借りるメリットは、1年以上の長期滞在における費用負担が最も小さいこと。一般的な賃貸物件は初期費用こそ高いものの、一日あたりの費用は安く抑えられます。ほとんどの物件で契約前に内見ができるのも安心です。
しかし初期費用が高いだけでなく、契約手続きが面倒であったり、引越しの手間や費用が大きくなりやすかったりする点が一般的な賃貸物件のデメリット。水道光熱費の契約や支払いも物件ごとにしなければならない点も、他の選択肢に比べると面倒です。初期費用が高い分、1年未満の滞在では割高になることが多いでしょう。
マンスリーマンションのメリット・デメリット
マンスリーマンションを利用するメリットは、生活に必要な家具や家電を会社や社員が都度用意しなくてよいこと。引越しの手間や費用の負担も軽減できます。一般的な賃貸物件に比べて契約手続きが簡単に済ませられるのもメリット。一般的な賃貸物件と同様に、料理や洗濯が自分でできることで、身体や財布に優しい生活が送れます。
ただしホテル滞在とは異なり、料理や洗濯、掃除をすべて自分でしなければならない点は逆にデメリットになることも。お金をかけてでも身の回りのことは自分でやりたくない、やる時間がないという人には向かないでしょう。1ヶ月以上の滞在であればホテルより総コストは安くなるものの、1年以上の場合は一般的な賃貸物件に比べて割高です。
マンスリーマンションの法人利用でよくある困りごと5選
会社として初めてマンスリーマンションを利用する場合は、勝手が分からなかったり何に気をつけたらよいか分からなかったりするでしょう。ここでは、マンスリーマンション法人利用をする際に、担当者が直面しやすい困りごとを5つご紹介します。
①同じ条件で複数の部屋を用意するのが大変
一般的な賃貸物件も同様ですが、マンスリーマンションを社員寮や社宅として使う場合「物件間で格差が出ないように」条件を揃える必要があります。アクセスの良さを考慮しつつ、同じ条件下で必要な部屋数を確保するのは一苦労。とくに急な辞令や応援要請で部屋を探すことになったときは時間も限られているため、多くの担当者が苦労しています。
②数ヶ月先の予約が取りにくい
ほとんどのマンスリーマンションの運営会社では、1ヶ月程度先までなど直近の予約しかできません。そのため4月からの新入社員用に秋から大量の部屋を手配しておく、といったことは難しいのが実情です。プロジェクトの予定がはっきりと決まっていない場合も同様、前もって部屋を確保するのが難しいのです。
③契約書類や入退去者の管理が大変
マンスリーマンションを利用している社員の数が多ければ、社内の人事異動による入退去も多く発生します。そうした中で、契約書類が部屋ごとに分かれていれば、管理がさらに大変…。また退去のたびに部屋の状況確認に出向くこともあれば、休日に入居者のトラブル対応が発生することもあります。つまり入退去者の対応だけでも相当の時間と労力を割かなければならないのです。
④期間短縮(解約)の返金に対応してもらえないことが多い
社員の中途退職やプロジェクトの変更によって、当初の予定よりも早く契約を解除したくなることは少なからず発生するもの。しかし多くの運営会社は一括前払いが多く、期間短縮(解約)による返金に対応していません。そのため急な予定変更が発生した場合は、損害が生じるリスクがあります。
⑤外国人の入居サポートができない
海外からのゲストや外国人社員用としてマンスリーマンションを利用する場合、生活のサポートが必要になるケースが多くあります。たとえば入居時の送迎や入居後の生活サポート(買い物や行政手続き)などです。入退去を管理したり滞在先を手配したりする部署に語学スキルのある人間がいるとは限らず、対応に困るケースも多く見受けられます。
マンスリーマンションの法人利用で選ぶべき運営会社の特徴
上記の困りごとに直面しないようにするためには、運営会社選びが肝心です。以下では、マンスリーマンションを法人利用するときに選ぶべき会社の特徴をご紹介します。
法人専用のマンスリープランがある
まずは、法人専用のプランがあったり、法人会員になれたりする運営会社を選ぶのがポイントです。法人会員になると、割引特典があったり一般公開前の物件情報をもらえたりするなど、多くのメリットがあります。
家賃や初期費用の支払い方法は入居前の前払いしか対応していない会社が多くある中で、法人専用のプランがある会社では、後払いや分割払いにも対応してくれることが多いのも特徴。あらかじめ法人専用プランが用意されている会社であれば、どんな細かな相談にも応えてくれる可能性が高いでしょう。
入退去者の管理をシステムで行ったり、24時間365日トラブル対応をしてくれる会社もあります。単純に家賃や初期費用だけでなく、各社のサービス内容まで確認しておきましょう。
経理書類一本化・短縮返金など柔軟な対応が可能
社宅や寮の管理では、予期せぬこと、急を要することが発生する可能性があるからこそ、柔軟な対応をしてくれる運営会社が理想です。契約書を部屋や入居者ごとに分けず一本化したり、数ヶ月先の予約ができたり、期間短縮時に返金をしてくれるなど、細かなことにも対応してくれる会社を選びましょう。
物件数が豊富な会社であれば、1棟で複数の部屋を用意してくれる可能性も高いです。同じ建物であれば、条件を揃えやすく、社員間の不公平感も生じにくくなります。ある程度規模が大きく、かつ柔軟な対応をしてくれる会社の方があらゆる面で都合がよいでしょう。信頼がおける会社なら、最初から条件だけ伝えてすべてプロに丸投げしてしまうのもオススメです。
数か国語対応や外国人への入居サポートが揃っている
海外のゲストを呼んだり外国人社員を抱えたりしている企業は、複数言語の対応や外国人への入居サポートが可能な運営会社を選びましょう。こうした会社には外国人スタッフや外国語対応ができるスタッフが在籍しており、複数の言語でのサポートが可能です。なかには空港からの送迎や普段の買い物、免許証の取得サポートなど、生活面まで丁寧に見てくれるサービスもあります。
築浅物件の取り扱いが多い
比較的築年数の浅い物件を多く取り扱っている運営会社もオススメ。清掃がしっかりされていない物件、トラブルの多い物件などは社員の離職リスクを招きかねません。万が一、社名がわかる状態でSNSで炎上すれば被害も甚大。人手不足が叫ばれる今の時代、貴重な人材を失わないためにも重要なポイントです。
マンスリーマンションには古い物件も少なくないため、運営会社選びを失敗すると、築浅物件が見つけにくくなってしまいます。きれいな物件が充実しているか、清掃も行き届いているか、事前に確認しておきましょう。また内見が可能な場合は、それらの点を含め室内外の状況をよく見ておくことが重要です。
マンスリーマンションを法人利用する際のポイントまとめ
マンスリーマンションを法人利用する際は、その目的や滞在期間、メリットを総合的に判断した上で契約しましょう。その際に選ぶべき運営会社は、法人専用プランがあったり柔軟な対応や外国人の入退去サポートをしてくれたりする会社、築浅物件の取り扱いが多い会社もオススメです。よい会社と契約できれば、今回ご紹介した困りごとには直面しにくく、入退去の管理もスムーズになるでしょう。