狭小物件とは?メリット・デメリットや一人暮らしに適した広さを解説

東京の都心をはじめ、比較的家賃相場が高い地域で部屋探しをすると目にすることも多い「狭小物件」。一人暮らしであれば10~20㎡の部屋は平均的な広さですが、中には10㎡未満の物件も…。はじめて部屋探しをする人の中には、本当に住めるのか疑問に思う人もいるでしょう。

そこで今回は、狭小物件を選ぶメリット・デメリットや、一人暮らしで選ばれやすい部屋の広さを紹介します。部屋の広さで迷った時の参考にしてみてください。

一人暮らしに必要な部屋の広さはどのくらい?

はじめて部屋探しをするときは、一人暮らしをするのに必要な部屋の広さについて、なかなかイメージが湧かないという人もいるでしょう。間取りばかりに目を向けすぎると、肝心な広さを見落としかねません。ここでは、一人暮らしに必要と考えられている部屋の広さや、実際に選ばれやすい間取りや広さについて解説します。

国の基準では25㎡が目安!?でも実態は・・・

世帯人数と部屋の広さの目安を考えるときに参考になるのが、国が定めた「最低居住面積水準」と「誘導居住面積水準」。これらは「最低限必要と考えられる部屋の広さ」と「理想的な部屋の広さ」を意味し、世帯人数に応じた広さの基準は以下のとおりです。誘導居住面積水準は、都市とその周辺で共同住宅に住むことを前提とした「都市居住型」と郊外や都市部以外で戸建住宅に住むことを前提とした「一般型」に分けられています。

世帯人数別居住面積水準(㎡) 単身 2人 3人
最低居住面積水準 25 30 40
誘導居住面積水準 都市居住型 40 55 75
一般型 55 75 100

参照:厚生労働省「住生活基本計画における居住面積水準」

つまり国が示す基準においては、一人暮らしをするときの部屋の広さは25㎡以上が目安と考えられているのです。こうした中で10~20㎡の物件に住むのは現実的ではない、と感じる人もいるかもしれません。しかし地方と違い、限られた土地に多くの人が居住している都市部では、必然的に一人当たりの居住面積も狭くなり、上記の水準を下回る広さの物件も多く存在するのです。

とくに東京23区内で安い物件を探せば、広さ10~20㎡は珍しくありません。中には10㎡以下のものも一定数あります。

平米(㎡)は畳に換算してみると分かりやすい!

部屋の広さは平米(㎡)で記載されることが多いですが、平米よりも「畳(帖)」で示された方が分かりやすいと感じる人も多いのではないでしょうか。実は畳自体(1畳)の広さは地域によっても若干異なるもの。たとえば関東地域では1畳=1.54㎡であるのに対し、関西や中国、四国、九州地域では1畳=1.82㎡です。

これらの地域差に対して、不動産取引では1畳=1.62㎡以上とするように定められています。仮に1畳=1.62㎡としたときの10㎡や20㎡の広さは以下のとおりです。

  • 10㎡=6.17畳
  • 20㎡=12.35畳

畳に換算してみると、おおよその部屋の広さがイメージしやすいでしょう。

一人暮らしの部屋の平均的な広さは、25㎡未満!

一般的に、一人暮らしで選ばれやすい間取りは、ワンルームや1K、1DK、1LDKの4種類。このうち、DKとLDKについては居室の数に応じて、以下の目安が設けられています。ただしこれは建築基準法上の決まりではなく、不動産公正取引協議連合会によって定められた不動産取引時の目安です。したがって、すべての物件がこの広さに準じているわけではありません。

居室数 DK LDK
1部屋 4.5畳(7.29㎡) 8畳(12.96㎡)
2部屋 6畳(9.72㎡) 10畳(16.20㎡)

※1畳=1.62㎡として換算

参照:不動産公正取引協議連合会「DK・LDKの広さ(畳数)の目安となる指導基準」

一人暮らしの物件における、居室の平均的な広さは、6~7畳。よって上記の目安に当てはめた場合、1DKの物件では18㎡程度、1LDKの物件ではおよそ23㎡程度が広さの目安と言えます。

狭小物件とは

狭小物件には明確な定義がありません。広さの基準もないため、15㎡未満の物件を指す場合もあれば、10㎡前後のものに限定して指すことも…。2017年頃から東京都心で若い人を中心にその需要が高まり始めたと言われており、トレンドに乗じて新築物件も数多く建てられています。

狭小物件の特徴

狭小物件は、狭いながらにも生活に必要な設備が一通りそろっているのが特徴です。必ずしもユニットバスではなく、風呂とトイレが別になっている物件やシャワールームのみの物件も多くあります。ロフト付きがスタンダードとも言われており、ロフトを寝室使いすることで空間にメリハリをもたせることも可能です。

狭小物件を選ぶ人ってどんな人?

近年需要が高まっている狭小物件は、主に居住エリアや立地を重視して物件探しをしている人に選ばれています。以前は、エリアや立地を重視しながら家賃を抑えるときの妥協点と言えば、築年数であることがほとんどでした。ところが時代のニーズに合わせて、新しくて設備の整った物件が増えてきた近年では、部屋の広さを妥協して狭小物件に住むという人が増えたのです。

最低限の物しか持ちたくない、物を増やしたくないという発想から、あえて狭小物件を選ぶ人もいます。必然的に限られた物しか持たなくなる狭小物件は、ミニマリストに憧れる人にも支持されているのです。これらのほか、郊外に自宅を構えつつ、都心のセカンドハウスとして利用する人も一定数います。

一人暮らしで狭小物件を選ぶメリット

部屋の広さ以上にメリットが感じられるからこそ、選ばれるのが狭小物件。実際に住んでみると、入居当初に想定した以上のメリットを感じる人も少なくありません。

立地が良く、家賃が安い

狭小物件に住むメリットはなんと言っても、そのエリアや立地に対する家賃の安さです。賃貸物件は、エリアや立地を始めとする条件の良さに比例して家賃が高くなり、特に都心エリアでは家賃相場の高さが顕著。そうした中、郊外に居住するのとあまり変わらない家賃で都心に住めるのが、狭小物件の魅力です。

物が増えない

必然的に物が増えないのも、狭小物件を選ぶメリットの1つ。広さに限りがある狭小物件では、居室内に物を置く場所がほとんどないのに加えて、収納スペースも限定的です。そのため入居前には断捨離をしてある程度物を減らし、入居後も物を増えにくいため、ミニマリストのようなシンプルな暮らしが実現できます。

節約しやすい

節約しやすいのもメリット。狭小物件に暮らしていると、新たに物を買わなくなったり、本当に必要なものだけを厳選して買ったりする習慣ができるため、自然とムダ遣いが減るのです。

部屋は狭い方が、エアコンやその他の冷暖房機器によって部屋が暖まったり涼しくなったりするスピードも上がります。そのため同じ造りの物件で比較したときには、狭小物件の方が光熱費はかかりにくいでしょう。

一人暮らしで狭小物件を選ぶデメリット

物が多い人やなかなか断捨離できずにいる人にとっては、その狭さがデメリットに直結します。狭小物件にはスタンダードとも言われているロフト付きの物件にもデメリットがある場合も否めないため、工夫が必要です。

狭くて物が置けない

そもそもスペースが限られている狭小物件では、ほとんど物は置けません。とくに10㎡未満の物件では、必要最低限の家電と小さめのデスク&チェアを置く以外のスペースはないという想定をしておきましょう。部屋の中が物で溢れかえってしまえば、ただでさえ狭い部屋がいっそう狭く感じられます。

ロフトスペースは温度が下がりにくい

エアコンの設置場所によっては、ロフトスペースの温度が下がりにくいというデメリットも…。空気は暖かいものが上にいき、冷たいものが下にいくという性質があるため、エアコンを使用してもロフトスペースの温度が下がりにくいのです。とくにエアコンがロフトの高さよりも低い位置に設置されている場合は、サーキュレーターを使って効率よく空気を循環させる必要があります。

狭小物件で快適に過ごすための工夫

まずは家具や家電をはじめ、物を最小限にすること。狭小物件で暮らす人の中には、洗濯機を置かずにコインランドリーを利用したり、服はサブスクリプションサービスを利用したりする人もいます。息が詰まった時は、ベランダでテレワークしたりして、気分転換するのも良いですね。入居時には不安を覚えるような狭さの狭小物件も、工夫次第では一定のスペースが確保でき、快適に暮らせるのです。

部屋が狭い分、休日はなるべく外出することを心がけると、よいリフレッシュになります。近所にお気に入りの散歩コースやお店が見つかれば、周辺地域への愛着も湧き、生活が楽しくなるでしょう。

コロナ禍で狭小物件の需要は変化する?

2020年春以降、新型コロナウイルスの拡大とともに普及したのがテレワーク。都心の狭小物件を積極的に選ぶ人の中には、職場への近さを重視し、自宅は寝るだけの場所と割り切っている人も多くいました。そのため狭小物件に対する需要の変化にも注目が集まっているのです。

2021年10月現在で狭小物件における目立ったトレンドの変化はありません。しかし、職場へのアクセスの良さよりもテレワーク環境の充実を図る人や、より開放的な空間を求める人が増加するという見方もされています。

マンスリーマンションならお試し住みで広さを体感できる

部屋は広すぎても狭すぎても生活をしにくいもの。多額の初期費用と引っ越し費用を支払って一般的な賃貸物件に入居してから、「一人暮らしには広すぎた」「狭すぎて生活しにくい」という後悔は避けたいですね。また内見時の何もない状態と荷物を運び込んでからでは、部屋の広さの感じ方も異なります。

マンスリーマンションでは20㎡前後の一人暮らしで選ばれやすい広さの部屋を数多く取り揃えています。部屋の広さに迷ったら、気軽にお試し住みができるマンスリーマンションで部屋の広さを体感してみてはいかがでしょうか。