ベストな部屋の向きとは?方角別メリット・デメリットや注意点を解説

部屋探しの条件にもなる、部屋の向き。「できれば南向きがよい」と考える人も多いのではないでしょうか。しかし人それぞれ生活スタイルも価値観も違う中では、一概にどの向きがよいとは言い切れません。

今回は、部屋の向き別にメリット・デメリットを解説します。実は、南向きの部屋であっても、必ずしも日当たりがよいとは限りません。そんな注意点も参考にしながら、自分にとってベストな部屋の向きを考えてみましょう。

部屋の向きとは

部屋の向きは南がよいと思う一方で、「何を基準にして部屋の向きが決まるのか」や「どうやって確認すべきか」について知らない人もいるかもしれません。まずは部屋の向きが決まる基準やその確認方法を理解しましょう。

主要なバルコニーや窓がある方角

そもそも部屋の向きとは、「主要なバルコニー(ベランダ)がある方角」のこと。バルコニーが複数ある場合は最も大きいもの、バルコニーがない場合は最も大きい窓が向いている方角が部屋の向きです。

部屋の方角は必ずしも真南や真東を向いているわけではありません。「南向き」であっても、東か西のどちらかに寄っている場合もあります。多少の偏りではなく、2つの方角の中間辺りを向いている場合は、「南西向き」や「北東向き」と表示されるのが一般的です。また角部屋のように隣り合う二方向それぞれにバルコニーや窓がある場合は、「東南角部屋」「南西角部屋」のように表示されます。

部屋の向きの確認方法

部屋の向きは主に以下の方法で確認します。

  • 物件情報欄を確認する
  • 間取り図の方位記号を確認する

通常、物件情報欄には「方角」「向き」「主要採光面」などの項目で、部屋の向きが記載されています。稀に、不動産会社の入力漏れによって空欄となっていることも。どこにも情報が見当たらない場合は、直接問合せをしましょう。

間取り図で確認する際は、方位記号から読み取ります。方位記号の種類は複数ありますが、いずれも北の方角を指し示しています。「北」や「N」と書かれている位置から部屋の向きを確認してみましょう。なお物件情報欄に方角の記載がある場合は、間取り図への記載を省略しているケースもあります。

部屋の向きが変わると何が変わる?

まず部屋の向きによって変わるのが日照時間。日照時間の違いによって部屋の温度やバルコニーへの日当たりが変わり、暮らしやすさが変わります。暮らしやすさの違いから家賃にも変化が生じるのです。

日照時間

日照時間とは、一日のうちで一定量以上の日が当たっている時間のこと。これが長ければ長い程、「日当たりがよい」と言われます。太陽は東から昇って南の空を通って西に沈むため、最も日照時間が長くなるのが南向きの部屋。反対に、最も日照時間が短くなるのが北向きの部屋です。

暮らしやすさ

日照時間が長いと、それだけ部屋の中の温度が上がりやすくなります。部屋の中の温度は快適性を左右する要素の1つ。日当たりがよい部屋では「冬は暖かく、夏は暑い」、日当たりが悪い部屋では「夏は涼しく、冬は寒い」という特徴があるように、部屋の向きで暮らしやすさが変わります。

家賃

すべての部屋に言えるわけではありませんが、部屋の向きによっては、家賃も変わります。一般的に最も人気がある部屋の向きは南。ついで東、西、北の順に人気が下がり、この人気順に即して家賃設定をしている物件もあります。

とくに顕著なのが、南向きと北向きの部屋の家賃の違い。たとえば同じ建物内で階数や広さが同じ部屋同士や、近隣にある似た条件の部屋同士でも、南向きと北向きでは数千円またはそれ以上の差がついているケースもあるのです。一方で北向きというハンデを補うために、その他の条件や設備を良くして、南向きの部屋と変わらない家賃にしている物件もあります。

部屋の向き別のメリット・デメリットとは

実際に住んだ経験のない方角の部屋の良し悪しは判断しにくいもの。部屋の向きにはそれぞれメリット・デメリットがあります。南向きの部屋にも北向きの部屋にも、それぞれ長短があるのです。

南向きの部屋のメリット・デメリット

南向きの部屋は、1日を通して部屋の中が明るいのがメリット。冬場の寒い時期も、他の方角の部屋よりも暖かく快適に過ごせます。洗濯物が乾きやすかったり、植物を育てやすかったりするのもメリットです。

日当たりの良さゆえ、夏場は暑さが厳しくなります。日中はエアコンなしでは過ごせない日も多く、光熱費もかさみがちなのがデメリットです。日がよく当たる分だけ、床や家具の日焼けも気になるでしょう。

北向きの部屋のメリット・デメリット

北向きの部屋のメリットは、暑さが厳しい夏場でも比較的快適に過ごせること。他の方角の部屋に比べて家賃が安い場合もあるため、お得な物件が見つかる可能性もあります。なお周りに高い建物がない場合には、北向きであってもそこまで室内は暗くなりません。

反対にデメリットは、冬場の寒さ。日が当たらない分だけ暖房器具を多用するため、光熱費もかかります。風通しが悪い部屋の場合は湿気がこもりやすいため、カビの発生に注意が必要です。

東向きの部屋のメリット・デメリット

東向きの部屋のメリットは、朝日がよく入ること。早朝から数時間は日当たりが良いため、冬場も早い時間から室温の上昇が期待できます。特に、朝早く外出する人にとっては、生活リズムを整えやすいでしょう。

一方でデメリットとしては、午前中のピークをすぎると部屋の中が徐々に暗くなっていく点が挙げられます。夏場は朝早くから日が入るので、必要以上に早く起きてしまう可能性も・・・。早起きしたくない人には、厚手の遮光カーテンが必須アイテムです。

西向きの部屋のメリット・デメリット

西向きの部屋のメリットは、お昼過ぎから夕方にかけての日当たりの良さ。とくに冬場は、帰宅時も部屋の中に暖かさが残っていることが期待できます。夕方以降の滞在時間が長い人にとっては、部屋の明るさや冬場の光熱費という点でメリットがあるでしょう。

その反面、午前中は直接日が当たらないため、部屋の中は暗くなりがち。夏場の午後はとくに西日が強く、部屋が暑くなりやすい点もデメリットです。テレワークをしている人を始め、西日が当たる部屋でのデスクワークや作業には遮光カーテンが欠かせません。

部屋の向きの好みは人それぞれ

部屋探しで重視する点が人によって異なるように、部屋の向きの好みも人それぞれ。一般的には、南向きがベストと考える人が多くいるものの、さまざまな理由からそれ以外の向きを好む人もいるのです。ここでは、なんとなく敬遠されがちな日当たりの悪い部屋や北向きの部屋を選ぶ人とその理由についてご紹介します。

あえて日当たりが悪い部屋を選ぶ人もいる

日当たりが悪い部屋に住んでいる人の中には、以下のような理由から、あえてそれを選択している人もいます。

  • 家賃の安さを重視
  • 日中はあまり家にいない
  • 洗濯物は浴室乾燥機で済ませる
  • 夜勤で日中寝ることが多い

とくに夜型の生活をしていて日中に睡眠をとる必要がある人にとっては、太陽の光が睡眠の妨げにもなりかねません。日当たりの悪い部屋の方が、日中に寝る環境としては適しているのです。

職業柄、北向きの部屋を好む人もいる

職業柄、あえて北向きの部屋を好む人もいます。その一例が画家です。「アトリエには北向きの部屋が向いている」と聞いたことがある人もいるでしょう。画家が北向きの部屋を選ぶ理由としては、直射日光が当たらず優しい光が入ること、日中の日当たりや光の強さが一定であること、他の方角に比べて1年を通した日の当たり方に差が出にくいことが挙げられます。

画家のみならず、色の見え方を気にする職業の人は、光の当たり方が一定の北向きの部屋を好みます。とくに自宅をアトリエと兼ねている人、自宅でも創作活動をしている人にとって、部屋の向きは作品の仕上がりを左右する程、重要です。パソコンでデスクワークをする人の中にも、一日を通して光の当たり具合が一定の方が、目が疲れないと感じる人もいるでしょう。

南向きの部屋を選ぶ人が注意すべきポイント

南向きの部屋だからと言って、「日当たりがよい」と思い込むのは危険です。方角的には日当たりが良さそうでも、周囲の環境によっては、必ずしもそれが保証されない点に注意しましょう。

周囲の建物の高さは要確認!

どの方角の部屋にも言えることですが、周囲の建物の高さは内見時の要確認ポイントです。たとえ南向きの物件であっても、目の前に高い建物がある場合には「思いのほか日が当たらない」ということも十分あり得ます。南向きの部屋であれば、最も太陽が高くなる正午頃に、どの程度日が当たるかを実際に確認してみると安心です。

夏と冬で日当たりが変わることがある

太陽が昇る高さは、夏至のときに最も高くなり、冬至のときに最も低くなります。そのため、夏場と冬場では日が入る角度が異なるため、日当たりが変わるのです。

目の前に日を遮る高さのものが何もないときは、冬場でも日はよく当たりますが、高い建物があるときは要注意。夏場の太陽が高いときには日当たりが良かった物件であっても、冬場になるとあまり日が当たらなくなる、ということも・・・。冬以外の季節に内見するときは、周囲の建物の高さよりも太陽がある程度高い位置にあることを確認しましょう。

部屋の向き以外で室内の明るさを左右する要素とは

日当たりが悪い部屋の場合に気になるのが、室内の明るさです。「住みたい」と思った部屋が南向きでなかったり、家賃の高さゆえに妥協せざるを得なったりする場合もあるでしょう。そんなときは、以下の点に着目して内見をしたり、入居後に工夫をしたりするのがオススメです。

窓の大きさや数、位置

窓の大きさや数の多さによっても、室内の明るさは変わります。たとえ直射日光が入らなくても、窓の面積の分だけ外の光が入ってくるためです。居室内だけでなく、玄関近くにも小窓があると、明るさのみならず風通しも良くなります。

内装や家具の色

室内が明るく感じられるのは、内装や家具の色が白基調の部屋。家具を白色で統一するだけでも、印象が変わります。フローリングの色が暗い場合は、明るい色のカーペットを敷いてみてもよいでしょう。

照明器具の明るさ

照明器具の明るさは、電球や蛍光灯を変えるだけで調整が可能です。部屋の広さに適した照度のものを選んだり、電球色ではなく白色のものを選んだりするだけでも、雰囲気が変わります。

部屋の向きに迷ったら、マンスリーマンションでお試し住みをしよう

「自分にはどの方角の部屋が合うかわからない」「実際に住んでから決めたい」という人には、マンスリーマンションでのお試し住みがオススメ。気になる方角の部屋に実際に住むことで、意外な発見や予想外の良さに気づくかもしれません。あらかじめ家具や家電もついているため、短期間で気軽にお試しができるだけでなく、室内の明るさや雰囲気を考える上でも参考になるでしょう。