街歩き「中洲川端」|繁華街だけじゃない!? 博多商人の人情と情緒が息づく街|vol65
暮らす前に、知っておきたい街のこと。マンスリー48のスタッフが実際に歩いて、住みやすさを紹介する「街歩きシリーズ」。今回は中洲川端駅の周辺を散策してみました。
中洲川端駅周辺は博多を語るなら絶対外せないエリア
中洲といえば九州随一の歓楽街。夕方には立ち並ぶ屋台に人が集まり、これから出勤する中洲の華やかな女性達の後ろ姿につい見とれてしまうのも日常のことです。
博多リバレインモールや博多座、キャナルシティに商店街に飲み屋街、映画館など、そんな華やかなネオン街は、ショッピング、グルメ、エンタメ全ての要素が詰まった正に「博多」を代表する観光スポットでもあります。
そして中洲といえば「博多祇園山笠」!承天寺が発祥で、毎年櫛田神社で奉納され、川端通商店街にも飾り山が設置されます。その他、博多どんたくや博多おくんちなどのお祭りとも縁の深いこのエリアの人達はとにかく祭り好き!「あけっぴろげで人がいい」とは言ったものです。天神や博多、福岡空港へのアクセスも抜群で、単身赴任や一人暮らしの人にもおすすめの街といえます。
中洲川端駅からの交通アクセスは?
地下鉄中洲川端駅は空港線と箱崎線の2線が乗り入れる駅で、中洲川端駅から2線が分岐するので、空港方面にも貝塚方面にもアクセスが可能です。お隣の天神駅へは1駅で、歩いても5分程度。博多も空港線で2駅3分と、交通面での不自由は全く感じられません。
また、西鉄バスは明治通りと昭和通りから市内の広範囲を網羅しており、強いて言うなら福大方面は乗り換えか国体道路の「南新地」バス停からになりますが、2023年3月からは七隈線の延伸で「櫛田神社前駅」が開業するので、よりアクセスがスムーズになります。
地下鉄中洲川端駅の出入口は7つあり、1〜4番までが中洲方面、5〜7番までが川端方面の出入口になっています。
こちらは地下鉄空港線の3番、4番ホーム(地下3F)で、地下2Fの1番、2番ホームが貝塚方面との間を接続する箱崎線です。箱崎線のみの利用人数は同線内で最も少ないといわれています。降りる人の数は比較的多く感じました。
箱崎線は、当駅止まりか西新行きが多数運行しています。藤崎より先に行く地下鉄の本数は地下3Fの4番のりばからの方が多いです。
川端方面に出る改札口からは、「博多リバレインモール」に直結する6番出口や「博多座」に直結する7番出口、「キャナルシティ博多」方面に出る5番出口と繋がっています。5番出口は川端通商店街のアーケード商店街に出る為、いずれの出口もほとんど雨に濡れる心配がありません。
地下鉄中洲川端駅の川端方面改札付近には600種類以上の金融機関と提携しているイオン銀行のATMがあります(中洲改札口付近にはなし)。
2023年3月に開通する七隈線の「櫛田神社前駅」が櫛田神社やキャナルシティ博多の最寄り駅に変わりますが、中洲川端駅からも川端通商店街を抜けてすぐなので、引き続きもう1つの最寄り駅となりそうです。
中洲川端駅のシンボルマークは山笠らしく、中洲川端の「中」と「川」を法被模様にデザインしたものとなっています。
中洲川端駅周辺のバス停は、画像の明治通り沿いともう1本向こうにある昭和通り沿い、それに加えて手前奥の国体道路沿いのバス停(南新地)を合わせると多数あり、市内ほぼ全てを網羅する路線となっている為、バスのアクセスは最強クラスといえるでしょう。
伝統のお祭りとゆかりの深い川端通商店街!博多っぽさが人気
地下鉄 中洲川端駅の5番出口を出るとすぐ見えてくる川端中央商店街。140年以上の歴史がある川端通商店街は2つの商店街に分かれており、北側が「川端中央商店街」、南側が「上川端商店街」です。川端通商店街は古くから「博多祇園山笠」や「博多どんたく」「博多おくんち」といった博多の伝統的なお祭りと密接な関わりがあります。
全長約400mの商店街には130店舗を超えるお店が軒を連ねており、昔ながらの昭和の雰囲気を保つ、博多らしさ100%の老舗商店街です!それでは行ってみましょう。
地下鉄七隈線の「櫛田神社前駅」が開通したら、中洲川端駅側の商店街が「川端中央商店街」、櫛田神社前駅側の方が「上川端商店街」となります。
明治時代の日清戦争時に、世情を風刺した「オッペケペー節」を寄席で唄い、一世を風靡した川上音二郎は興行師であり芸術家で、博多区の対馬小路(つましょうじ)に生まれました。のちに新派劇を創始。アメリカやヨーロッパにも渡り、パリ万博で公演するなど海外でも積極的に巡業して成功を収めたといわれています。
こういうところも博多っぽくて魅力がある川端通商店街。ブレのない筋の通ったところがいつ来てもいいな、と感じます。
コロナが落ち着き、商店街にもようやく活況が戻ってきました。川端通商店街でもホークスのパブリックビューイングが恒例となっていますが、2022年は3年ぶりに開催されています。
額縁専門店ですが、博多ならではのグッズや日本の和文化にちなんだ商品がズラリと勢ぞろい。とても良心的な対応をしていただけるお店です。
「松田ネーム刺繍店」では、博多にわかグッズのほかに、猫グッズや猫柄生地など幅広い世代に対応した商品を取り扱っています!
川端ぜんざい広場は、大正初期創業の博多の名物ぜんざい「川端ぜんざい」を提供している広場。他の飾り山笠は7月の山笠開催期間だけ公開されていますが、ここでは博多祇園山笠の飾り山が1年中飾られています。「川端ぜんざい」は日本一甘いといわれるぜんざいで、金・土・日限定で味わうことができます(7月1日〜14日は毎日)。
小豆は北海道の大納言を使用。香ばしい焼きたてのお餅が2個入っていますよ。夏はかき氷にも小豆がたっぷり!お店は一旦閉店しましたが、復活を熱望する市民の声に応え、商店街が見事復活させたそうです。
3種類のスープ(とんこつ・醤油・濃厚つけ麺)で作るラーメンは他県から来た人達からも人気です!
博多の伝統芸能の1つである博多人形。こちらのお店では素晴らしい作品の数々が販売されており、博多織の販売も行っています。博多ならではの伝統工芸品を手元に置いておきたい時やお土産にもいいですよ!
2,000着以上のドレスを取り揃える「イワタズ コレクション」は中洲で働く女性達御用達のお店。ドレスの品数は西日本一といわれています。フォーマル系のドレスもあるようです。
店舗の奥には食堂があり、お店の方が手作りした料理も提供しています。800円以内で体に良くてコスパも高い定食がいただけますよ!
モンドセレクションの金賞を22年連続で受賞している大ヒット商品「博多通りもん」を販売する明月堂。全国でも人気の銘菓を川端店でも購入できます。場所は櫛田神社のすぐそばです。
博多祇園山笠で有名な櫛田神社周辺エリア
「お櫛田さん」の愛称で親しまれる櫛田神社は博多の総鎮守であり、商売繁盛・不老長寿の神様として、そして何と言っても「博多祇園山笠」で有名な神社です。櫛田神社は非常にアクセスの良い神社なので、いつも多くの参拝客で賑わっています!
ちょうど節分祭が行われており、節分名物のお多福面が神門3ヶ所に設置されていました!正門(楼門)は裏側にあります。今回も撮影がてらご挨拶させていただきました。
こちらのお多福さんの高さは5m以上!3ヶ所のうちいずれかのお多福面の口をくぐってお参りをすると、福に恵まれるといわれています。真面目にコツコツと頑張って来られた人は神様も応援して下さるでしょう。
櫛田神社は博多祇園山笠だけでなく、秋の実りに感謝する「博多おくんち」や「博多どんたく」といった博多を代表するお祭りの出発地点にもなっています。
櫛田神社そばの細い路地にも、カフェや定食屋さんなどの飲食店街が広がっており、レトロ感満載ですが、古くから残るこの雰囲気が良いのです!
ぎんなん通りと呼ばれるこの細い路地で店を構える「かわはらすぱいす食堂」は、明太子の「ふくや」が2021年にオープンさせたお店で、看板メニューの「かわはらすぱいすカレー」をはじめ、揚げ物系メニューも人気!2/16に2周年を迎えました。
3月末に開業予定の地下鉄の櫛田神社前駅、そして中洲川端駅や祇園駅からもアクセスの良い場所にあります!一番人気は「ごぼう天うろん」。多くの人が食べられる回転の早さも見事です。
祇園駅・櫛田神社前駅からも近い「キャナルシティ博多」周辺
「かろのうろん」から近い場所に大型複合施設「キャナルシティ博多」への連絡通路があり、中洲川端駅から商店街を抜けて行ってもほとんど雨に濡れる心配がありません。それでは行ってみましょう!
キャナルシティ博多は7つの建物群で構成される大型複合施設で、ショッピングモールや飲食店街を中心に、映画館、ラーメンスタジアム、グランドハイアット福岡、キャナルシティ福岡ワシントンホテルなどが集まっています!
中洲だけでも約40軒が軒を連ねる中洲屋台街周辺
福岡市のイメージといえばやっぱり屋台ですよね。市内だけでも屋台軒数は約100軒が営業しているといわれています。中でも中洲の屋台街は観光名所としても有名で、国内外を問わず観光客でいつも賑わうスポットです。
天神、中洲、長浜地区など、市内に100軒ほどある屋台の中でも、博多の代名詞の1つでもある中洲屋台街。2023年6月からは市内の13区画に新規の屋台が誕生する予定となっています。どんなお店が誕生するのか楽しみですね!
歴史史跡や評判のうなぎ店がある博多川周辺
中洲といえば那珂川がよく知られていますが、その那珂川から分岐する中洲川端駅寄りの小さな川が博多川で、須崎公園そばの須崎橋で那珂川に再び合流。そんな博多川の周辺には、歴史史跡の川端飢人地蔵尊や行列ができるうなぎ店などがあります。それでは行ってみましょう!
18世紀(江戸時代)の「享保の大飢饉」で筑前国だけでも約6,000人が亡くなったといわれており、現在も地域住民の方が管理されています。毎年8月には地元の人々によって施餓鬼供養が行われるそうです。
「博多名代 吉塚うなぎ屋」は創業から150年もの歴史を誇る老舗。絶品のうな重やうなぎ茶漬などが味わえますよ。毎年9月には「鰻供養祭」が開催され、博多川では鰻の放流も行われます。
天神との分岐点となる那珂川周辺
那珂川は天神と中洲、いわば中央区と博多区の分岐点となる川で、博多の代表的な風景としてもおなじみの川です。旧福岡県公会堂貴賓館から伸びる「福博であい橋」は天神と中洲との架け橋で、クリスマスにはイルミネーションが催され、多くの人で賑わいます。夜は水上バスの「那珂川リバークルーズ」が行われるなど、博多の風情満載のエリアです。
少し先に見えるのが、商人の町・博多と城下町・福岡をつなぐ「福博であい橋」。人も鳩も集まる癒やしのスポットです。左端の橋の袂には3人の舞妓像が立っています。
那珂川を水上バスで航行する「那珂川リバークルーズ」は30分1,000円で、11時から21時まで1時間に1本運行しています。45分コースの博多湾コース(1,500円)もおすすめですよ。
博多座・博多リバレインモール周辺にはあの名店も?
地下鉄中洲川端駅に戻り、博多座や博多リバレインモール周辺も歩き回ってみました。それでは行ってみましょう!
中洲を訪れたらココに寄らなきゃ意味がない!といっても過言ではないほどの名店です。本格和菓子と絶品スイーツ、彩り豊かな日替わりランチなど並んでも食べる価値がありますよ。
博多エリアには昔から伝統を受け継ぐ老舗の個人商店が今も健在で、レトロな雰囲気が堪りません。博多ならではの老舗は、このままずっと続いて欲しいものです。
大型複合施設の「博多リバレインモール」には、ショッピングモールや飲食店街のほか、ホテルオークラ福岡や福岡アジア美術館、博多座が入っており、2014年には「福岡アンパンマンこどもミュージアムinモール」が開業。子供から大人まで幅広い層の利用客が集まる施設です。
リバレインセンタービルのお隣には、歌舞伎やミュージカルが行われる「博多座」のビルがあり、こちらも博多リバレインの主要テナントの1つです。演劇専用の劇場となっており、初代博多座は川上音二郎一座が千代町で開設したといわれています。
「天ざるそば」や「鴨そば」、「山菜そば」など本格的な手打ち蕎麦が美味しい「加辺屋」の川端本店はいつもランチで賑わう人気店。1人でも入りやすい雰囲気のお店です。
一流のおもてなしで評判の「ホテルオークラ福岡」は中洲川端駅にも直結しており、アクセスも抜群!ホテル内には6つのレストランがあり、各国の料理が味わえます。博多献上柄のマカロンも販売していますよ。
川沿いの広いテラスにはいつも沢山の人で賑わう「モーリスヒッポ」では、フィッシュ&チップスをおつまみにスポーツ観戦も楽しめます。
鏡天満宮の鎮座地は菅原道真公が博多に到着された際に鏡で姿を映したといわれる場所で、その鏡が御神体となっています。眷属(けんぞく)の牛が可愛らしいです。
書店やドンキ、ライブハウスなども入る「ゲイツ gate's」周辺
博多大橋交差点そばには、ドン・キホーテやスーパーのフードウェイ、ドラッグストア、飲食店などが入る複合施設の「ゲイツ gate's」があります。それでは行ってみましょう!
「ゲイツ gate's」には、スーパーのフードウェイやドラッグストアのココカラファイン、ドン・キホーテやフラワーショップのほか、リラクゼーションサロンやスポーツ系のバー(ゴルフバー、卓球ダイニングバーなど)、ミュージックバー、飛行機のファーストクラスをイメージしたコンパクトホテルなど、多様な施設が混在している建物です。一度探検してみると面白いですよ。
日本三大歓楽街の1つ「中洲歓楽街」周辺
中洲といえば、東京の歌舞伎町、札幌のすすきのと合わせて「日本三大歓楽街」の1つにも数えられる街です。中洲のネオン街にもたくさんのドラマがあります。それでは行ってみましょう!
市内に大きな映画館は多数ありますが、その中でも最も歴史が長いのが中洲大洋映画劇場です。相次ぐ新たな映画館の開館により、中洲にあった映画館は次々と閉館となったり、天神に移転したりと、中洲で残ったのはこちらだけ。昭和の名残を残す映画館として今も愛され続ける映画館です。
中洲の歓楽街で夕方17時から夜中の24時まで営業する人気ケーキショップの「ホテルパティスリー ufu(ウフ)」。デザートがたっぷり乗ったケーキはスイーツ好きの心を掴んで離しません!夜営業しているので、その点も嬉しいところですね。
横長の容器に入ったラーメンでも知られる「一蘭」の総本店が中洲にあります。一蘭のラーメンは好き嫌いもありますが、あの濃厚スープを初めて食べた時の感動は忘れられません。
追い山のゴール地点「須崎問屋街 廻り止め」周辺(須崎町)
昭和通り沿いには、博多祇園山笠が最も白熱する「追い山」のゴール地点となっている「須崎問屋街 廻り止め」があり、老舗菓子店の石村萬盛堂もそのそばに立っています。博多の伝統の祭りはここでフィナーレを迎え、博多の男衆は次の年の山笠に思いを馳せるのです。
7月15日の早朝4:59から始まる追い山は櫛田神社の境内からスタートし、約5kmのコースの終点であるこの廻り止めを目指します。到達タイムは隣の石村萬盛堂の2Fから発表されるそうです。
石村萬盛堂は1905(明治38)年の創業から120年ほどの歴史がある和洋菓子店で、「銘菓 鶴乃子」で有名な老舗です。ふんわりマシュマロが乗った「つるのこのこ」は本店限定!こちらも要チェックです。
中洲川端の魅力はなんといっても博多情緒と多様性
抜群の交通アクセスと利便性を誇る中洲川端エリアの魅力は、博多の祭りが地域に根ざした昔ながらの商人の町であり、その伝統を受け継ぐ美しさと新しいものとの多様性とバランス。そしていつ見ても変わらない那珂川の風情だと感じます。