理想の部屋が見つかる「賢い部屋探しのコツ」。不動産20年のプロが解説。
初めての部屋探しでは、「何をどうすれば良いか分からない」と言う人も多いでしょう。不動産ポータルサイトで検索する?とりあえず不動産屋に行く?どちらも方法としては正解ですが、理想の部屋を見つけるにはいくつかのポイントを押さえる必要があります。
そこで今回は、初めて部屋探しをするひとに向けて理想の部屋が見つかる方法やポイントを解説します。
まずは自分が求める条件を整理
部屋探しは、いくつかの条件をはっきりさせた上で始めるのが効率的です。何も条件を決めない状態では、ポータルサイトで検索をすることも、不動産屋で物件の紹介をしてもらうこともできません。条件が出揃ったら、その中で「これだけは譲れない」という条件を決めたり、条件の中で優先順位をつけたりするのもオススメです。
代表的な条件として挙げられるのは、立地、家賃、間取り、築年数、設備など。ここでは、それぞれの条件を設定する際のポイントや注意点を解説します。
立地
部屋探しの条件として、まず思い浮かぶのが「立地」。そもそも部屋探しをする理由が、就職や転勤、進学という場合は、通勤や通学に便利な駅周辺で部屋を探すことが多いでしょう。その他にも、商店街や公園、コンビニやスーパーが近い物件が良いなど、それぞれの生活スタイルによっても、選ぶ立地は変わります。
複数の地域で部屋探しをする場合は、その地域の特色に合わせて立地を選ぶのも良いでしょう。例えば、ターミナル駅がある地域では、駅周辺は物件数も限られるため駅徒歩15分以内とし、その他の駅周辺では駅徒歩5分以内とするなど。地域によって物件数や相場は大きく変わり得るので、地域ごとに条件を変えることをオススメします。
家賃
「家賃」は部屋探しをする上で、特に重要な条件です。一般的に家賃の目安とされているのは、手取りの30%以下。毎月の支払いやその他の生活費に支障が出ないよう、ある程度余裕をもたせると安心でしょう。
なお、賃貸物件を契約する際にかかる初期費用の目安は家賃の5ヶ月分です。初期費用を抑えたい場合は、敷金や礼金がかからない物件を選ぶなどの方法もありますが、そもそもの家賃を下げるというのも1つの手段。短期的にも長期的にも無理のない範囲で家賃設定をすることが重要です。
間取り
生活のしやすさを左右するのが、間取り。一人暮らしでは、1R(ワンルーム)や1K、1DK、1LDKが選ばれることが多いでしょう。地域によって多少の違いはあるものの一般的には、1Rの家賃が最も安く、人気がある1LDKは家賃が高いことが多いです。
それぞれの間取りにメリットとデメリットがあります。快適性よりも家賃の安さをとるのか、多少家賃が高くても食事とそれ以外の空間を分けたいのかなど、自分の生活スタイルや考えに合わせて選ぶと良いでしょう。荷物が多い人は、収納スペースの広さも要確認です。
築年数
「できれば新しい物件や築浅の物件に住みたい」と考える人も多いでしょう。新築物件であれば、居室内や共用部分の設備も最新のもの導入されていることが期待できます。しかし、新しい分だけ家賃も相場より高く設定されている可能性が高いでしょう。
築古の物件の中には、リノベーションをして内装や設備が新しくなっているものもあります。家賃を安く抑えたいけれど、内装はある程度新しいものが良いという場合は、リノベーション物件を探してみるのも選択肢の1つです。
設備
賃貸物件の設備とは、エアコンや独立洗面台、追い炊き機能などの居室内の設備と、オートロックや宅配ボックスなどの共用部分の設備を指します。自分が生活する上で、これだけは最低限付いていてほしい設備と、あったら嬉しい設備をリストアップしてみると良いでしょう。
女性の一人暮らしの場合は、セキュリティ面の設備も気になるポイントです。オートロックに加えて、モニター付きインターホンや防犯カメラもあると安心ですね。
次に不動産ポータルサイトで検索
部屋探しの条件が決まったら、次は不動産ポータルサイトで検索をします。不動産ポータルサイトとは、あらゆる不動産屋が取り扱う賃貸物件情報を掲載しているウェブサイトのこと。まずは大手サイトを使ってみると良いでしょう。
ポータルサイトで部屋を探す方法としては、
- ・エリアや駅を特定してから希望条件を入力し、候補を絞り込む方法
- ・希望条件を入力した後で、地図上から候補を探す方法
が定番です。その他にも、通勤・通学時間から探したり、相場から探したりする方法もあります。希望条件が増える程、候補は絞られるため、優先順位が高い条件から入力し、徐々に候補を絞っていくと良いでしょう。
そのほか、特集ページから探す方法もオススメです。新婚カップル向けや女性向け、ペット可の物件など、特集ページから探した方が効率的であったり、より理想に近い物件を見つけられたりする可能性もあります。
時間に余裕がある場合は、複数のポータルサイトで部屋探しをすると良いでしょう。物件によっては、複数のポータルサイトに掲載されているものもあれば、1つのサイトにしか掲載されていないものもあります。せっかく理想の物件で募集があったのにチャンスを逃した・・・ということは避けたいですね。
理想の部屋を見つけるためのワンポイントアドバイス
ポータルサイトに掲載されている情報には限りがあるため、気になる物件が本当に理想通りのものであるか否かは、内見で確かめる必要があります。ただし、募集が出てもすぐに入居者が決まってしまう物件もあるため、内見はなるべく早めに行うことが肝心です。
また、検索をしても「理想の部屋が見つからなかった」という人も、ある工夫をすれば理想の部屋が見つかるかもしれません。
気になる物件があれば、すぐに内見予約。
気になる物件を見つけたら、すぐに内見の予約をしましょう。特に、人気物件の場合は掲載されたと思ったら翌日には成約、ということもあります。内見後は、諸条件が折り合えば申込み、審査を経て本契約、という流れです。
オンライン内見やセルフ内見を活用する。
コロナ禍で需要が高まっているのが、オンライン内見やセルフ内見。どちらも不動産屋のスタッフと直接会うことなく、スピーディーに内見ができるのが魅力です。全ての物件が対応できているわけではありませんが、これらのサービスが受けられる物件はコロナの影響を受けて増加しています。
オンライン内見とは、自分の代わりに不動産屋のスタッフが現地へ行き、室内や共用部分、周辺環境をカメラに映しながら説明をすること。物件内を隅々まで見せてもらったり、スタッフがその場でメジャーを使って収納スペースの広さや窓枠の大きさを測ったりしてくれるため、実際に内見に行くのと遜色のない情報を得られます。ただし、音や匂いのように人それぞれ感じ方が異なる情報は、参考程度に留めておきましょう。
セルフ内見は、オンライン予約をした上で直接現地へ行き、不動産屋の立会いなしに内見をすることです。魅力は何と言っても、自分のペースで気になる箇所を入念に確認できたり、隙間時間を有効活用できたりすること。最短で予約当日に内見ができる物件もあります。
理想の部屋が見つからなかったときにできること
希望条件を入れてポータルサイトで検索をしても理想の部屋が見つからなかった、ということもあるでしょう。希望条件を入れすぎているわけでも、検索範囲を狭めているわけでもないのに見つからない・・・。このような場合は、「理想に合致する部屋の入居者募集がされていない」ことが原因として考えられます。
ポータルサイトの通常の検索では、「空室の物件」しか表示されません。つまり、自分の条件に合うものがあったとしても、空室になるまでその存在有無すら分からないのです。
特に条件の良い人気物件は、空きが出にくかったり、空きが出てもすぐに埋まりやすかったりします。そのため、運よく出会える可能性も低いのが実情です。
1. お知らせメール機能を使う
大手ポータルサイトでは、登録した条件で新たに募集情報が更新されると、メールでお知らせしてくれる機能があります。この機能を使えば、毎日自分で確認したり検索したりする手間が省けて便利です。また、閲覧履歴やお気に入り登録に従い、希望条件に近い物件を紹介してくれる機能もあります。
特に、2~3月などの引っ越しハイシーズンでは物件の入れ替わりが激しく、急に好条件の部屋が出てくることも。まずは希望条件を登録し、お知らせメールの配信設定をしておきましょう。
2. アーカイブで「募集待ち機能」を使う
あまり知られていませんが、大手ポータルサイトには、アーカイブまたはライブラリーという「現在募集してない物件」を掲載しているページがあります。TOPページからしかサイトを見ない場合やアプリでしか検索しない場合は、その存在に気付きかないかもしれません。(「物件名 アーカイブ」で検索すると発見できます)
アーカイブには、過去に入居募集があった全ての物件が掲載されているので、空室、満室を問わず、理想の物件を探し出すことができます。満室の場合は「募集待ち機能」を使い、新たに入居募集が開始されたらメールが届くように設定しておきましょう。
理想の部屋は見つかったけど、空室まで待てない時は?
ついに見つかった理想の部屋。来月には引っ越しをしなければならない事情がある一方で、入居できるのは最短でも4ヶ月後・・・。 そんな時にオススメなのが、マンスリーマンションの利用。
マンスリーマンションは、
- ・敷金礼金など初期費用が不要
- ・家具家電が一式用意済み
- ・即入居可の物件もあり、退去もすぐ可能(料金が日割りになるかは要確認)
といった利点があります。つまり、理想の物件が空室になるまで待つのに最適です。入学や就職などで、とりあえず引っ越しをしなければならない場合は、必要な荷物だけもって、マンスリーマンションを利用しましょう。
せっかく理想の部屋が見つかっても、「すぐに入居できないなら」と妥協をして他の物件を選び、結局引っ越し、となれば初期費用と引越し費用が二重でかかってしまいます。何年も住むことを考えるのであれば尚更、一旦マンスリーマンションに住むのは「賢い選択」と言えるでしょう。