「敷金礼金なしの物件はやめた方がいい」は本当?近年の増加理由も合わせて解説!
「新しい部屋に引っ越すたび、敷金と礼金を払うのがつらい・・・」
「敷金と礼金がない物件を選べば、悩みが解決できそう!」
転勤が多い方や学生で進級のタイミングでキャンパスの場所が変わってしまった方など、引っ越しを重ねる方も少なくありません。敷金と礼金で家賃の数カ月分の支払いを求められることもあり、新生活を始める前の大きな負担になっている方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、敷金礼金なしの物件を選ぶときの注意点をご紹介します。敷金と礼金がない、いわゆる「ゼロゼロ物件」と呼ばれるタイプのお部屋も増えてきていますが、注意点を理解したうえで選ぶようにしてくださいね。
「敷金」・「礼金」の持つ意味と相場
まずは敷金と礼金の役割や相場について確認しましょう。「なぜ支払いが発生するのか」がわかると入居前のモヤモヤ解消につながるかもしれません。また相場を把握して極端に高い値段を要求されていないかをチェックしましょう。
敷金礼金とは
入居時に支払う「敷金」とは、大家さんのリスクを軽減するためのお金です。入居審査をして収入に問題がない人を選んでも、家賃滞納をしてしまう可能性があります。家賃滞納が発生したときに、敷金から転用すれば大家さんの収入が途絶えることはありませんよね。
また部屋を退去するときには、次の入居者のためにキレイにする必要があります。借りたときの状態にもどすための「原状回復費」としても敷金は使用されるのです。原状回復をしてお金が余った場合は後日返却されます。
「礼金」は大家さんに「部屋を貸してくれてありがとう」を伝えるためのお金です。お礼の意味合いを持つため、退去しても返却はされません。返ってこないお金であることが敷金と異なる点ですね。
実は敷金と礼金という表現は、全国共通ではありません。西日本エリアでは敷金のことを「保証金」、礼金のことは「敷引き」と表現されるケースがあります。表現は異なりますが、それぞれのお金の持つ役割は同じです。
敷金礼金の相場の目安
敷金と礼金はいくらぐらいが相場なのかは、気になるところ。相場は住む地域や物件によりさまざまな金額が設定されているため、一概にいくらとは明言できません。しかしある程度の目安はあるので、基準を知り自分が住もうと思っている物件は「普通」なのかを確認しましょう。
敷金と礼金は家賃により変動します。一般的に敷金と礼金は、それぞれ家賃の1〜2ヶ月分が相場です。家賃が7万円と10万円の場合で、比較しました。
敷金礼金の相場 | ||
---|---|---|
家賃7万の物件 | 14~28万円 | |
家賃10万の物件 | 20~40万円 |
家賃が高くなればその分、支払う敷金と礼金の金額はアップします。また1ヶ月分なのか2ヶ月分なのかという違いにより、支払う額に数十万円もの差が生まれることも。入居前に、家賃だけでなく敷金礼金も含めて、無理なく支払える金額かをぜひチェックしてくださいね。
「敷金礼金なし」が増加傾向の理由
敷金と礼金を求める物件は依然として多いですが、不要なところも増えてきています。入居前にたくさんのお金が必要なところには、引っ越したくても厳しいと諦める方もいるもの。入居希望者がいなければ、いつまで経っても空き部屋のままですよね。空き部屋では大家さんの収入はゼロです。そこで少しでも稼働率を上げる目的で、入居へのハードルを下げるために取られた対策が「敷金礼金なし」物件の提供。入居までに余分な支払いがなければ、入居希望者を現れやすいでしょう。
実は空き部屋のままで長期間置いておくのは、大家さんの収入面以外にもデメリットがあります。使わない室内設備は傷みや劣化がしやすいのです。また、人が住んでいないとわかっている部屋に外部から人が侵入する恐れも。防犯面が気になる大家さんにとっては、空き部屋のまま放置するのは好ましい状況ではありません。
最近では家賃保証会社の利用を入居者に案内するところもあります。家賃保証会社に加入することで、敷金を受け取らなくても家賃滞納した場合に、補填が受けられ対処できるからです。
「敷金礼金なし」物件を選ぶメリット
敷金と礼金なしの物件を選ぶメリットを2つご紹介します。メリットをチェックして、お部屋探しに役立ててくださいね。
初期費用が抑えられる
敷金と礼金のない物件を選ぶ最大のメリットは、初期費用が抑えられることです。通常の敷金礼金ありの物件では入居の際に数十万円かかります。敷金礼金に加え、仲介手数料や保険料、前払い家賃などが発生するからです。
また大型の家具家電を運搬するためには、引っ越し費用も発生します。引っ越しの繁忙期に業者を利用すると、10万円以上かかることも珍しくありません。貯金に不安がある方では、引っ越したくても初期費用が気がかりで行動に移せないことも。敷金礼金がないお部屋なら、入居までの負担が軽減できますね。
別のことにお金がかけられる
敷金と礼金がなく初期費用を抑えられるため、別のことにお金がかけられることもメリットです。たとえば、条件の良いお部屋は家賃が高いことが多々あります。家賃が数万円異なるだけで、敷金礼金があるとかなりの負担に。そのためお部屋の条件を妥協して少しでも家賃の安いところを選ぶこともあるでしょう。
しかし敷金と礼金が不要なら、入居時の負担は大きく軽減します。少し高めの家賃のお部屋でも、十分候補に入るのではないでしょうか。自分が住みたいお部屋選びができる可能性が高まります。
初めて一人暮らしをする方は、新生活に向けて家具家電を購入しますよね。今まで一人暮らしをしていた方でも引っ越しを機に買い替えをする方もいることでしょう。敷金や礼金が不要になったのなら、良いものをそろえたいと思いませんか。オーブン機能付きの電子レンジやスティックタイプの掃除機など、家具家電にこだわることもできます。
「敷金礼金なし」物件を選ぶ際の注意点
初期費用の負担が軽減され、別のことにお金がかけられる敷金と礼金がゼロの物件。選ぶ際には、注意点の把握も大切です。ポイントを押さえて、お部屋探しに役立ててくださいね。
住環境
気になるお部屋の住環境は内見時にしっかりチェックしましょう。敷金礼金がない理由の一つが空き部屋を減らし、稼働率を上げるためでした。そもそも人気がある物件なら、敷金礼金をなしにする必要はありません。初期費用がかかっても住みたい人は現れます。
たとえば駅までの距離が遠い、周辺が繁華街で夜間に騒々しいなど、住環境に問題を抱えている可能性があります。治安が良くないエリアは、女性や初めて一人暮らしをする方には、大きな不安を抱えるポイントに。室内設備も年式が古く使い勝手が良くなかったり、家事動線の悪い間取りだったりするかもしれません。内見時には室内の様子を見て違和感がないかを確認してください。
周辺環境のチェックは、交通の利便性の他にお買い物スポットを見ましょう。スーパーやドラッグストア、コンビニなど普段の買い物ができるお店は近隣にあるでしょうか。店舗の位置だけでなく営業時間も忘れずに見ておきたいところ。
たとえば地元密着型のスーパーでは、19時閉店・土日休業といったことも起こりえます。閉店時間が早かったり土日にスーパーが開いていなかったりしていては、普段のお買い物がしづらいですよね。不自由なく暮らせる住環境が整っているかどうかは、入念にチェックしてくださいね。
家賃設定
敷金と礼金を要求しない分、家賃がかさ増しされて高めになっているかもしれません。気になるお部屋を見つけたときは、近隣の似たような条件の間取りと比べてみましょう。極端に高くなっていないかをチェックしてください。
敷金と礼金は入居前に1度支払うだけです。そのときは金銭面での負担は大きいかもしれません。しかし毎月の家賃は平均的なので、それほど無理なく暮らしやすいでしょう。一方で敷金と礼金が不要でも家賃が割高な設定にされていては、長く住み続けるのは大きな負担に。周辺物件との家賃比較は必ずおこないましょう。
その他の名目の加算料金
入居時に支払うお金は、何にどれくらいかかるのかを細かく確認してください。敷金と礼金はゼロでも、その他の名目で加算料金が発生しているケースがあります。前に住んでいた人の生活感をなくすための清掃費やハウスクリーニング代、空き部屋が続いたときに虫が沸かないようにするための防虫加工費などの項目が挙げられるでしょう。
新型コロナウイルス蔓延の影響で除菌代を加算するところも。前の住民がスペアキーの製作や紛失していた可能性に備え、鍵の交換費も発生するかもしれません。何のための費用なのか、名目がはっきりわかるものだけではありません。〇〇サポート費のように「何で使う費用かが不明確」な項目が加算されている恐れもあるでしょう。費用の明細を確認し、納得できないものが加算されている場合は、不動産会社に説明を求めてくださいね。
退去時の特約追加
入居するときは特に費用が発生していなくても退去の際に特約として、何らかの請求をされるケースがあります。たとえば、敷金がある物件では退去する際の原状回復費は受け取った敷金の範囲内で対応するものです。しかし敷金がなければ、原状回復に必要な部屋のクリーニング代は、すべて大家さんの負担になってしまいますよね。
敷金礼金がない物件では、退去者にクリーニング代を要求する場合も。しかも大家さんの負担を軽減するため、請求額を高めの料金設定にされていることがあります。賃貸物件は住む期間に個人差はあってもいつかは退去する方がほとんどですよね。入居前には、退去時にトラブルに発展しそうなことを確認しておくと良いでしょう。
仲介手数料
敷金と礼金とは別枠で捉えておきたい料金に、仲介手数料があります。「敷金・礼金ゼロ円=仲介手数料ゼロ円」ではありません。仲介手数料とは、不動産会社に支払う手数料のことです。
不動産会社は、入居希望者と大家さんの間に立ち、物件を案内したり契約時には注意事項を説明したりと、さまざまな働きをしてくれています。その対価として支払うのが仲介手数料なのです。ただし仲介手数料は、上限が家賃の1ヶ月分までと法律で定められています。もし家賃が10万円のお部屋なら、仲介手数料の上限は10万円プラス消費税です。
必ず支払うものではないため、なかには仲介手数料がゼロ円の物件も。仲介手数料ゼロ円の物件でも、何かの項目で費用が加算されている可能性があります。契約前には、どんな費用が発生するのかを尋ねておくのがおすすめです。
契約書の内容
契約前には、契約書の内容を入念にチェックすることが大切です。契約書に記載された内容は、細々としているため聞き流してしまう方も多いのではないでしょうか。契約書を交わすときには、お互いに相違が起きないように内容の確認をおこないます。何度も引っ越しをしていて賃貸契約が慣れていたとしても、内容確認は聞き流さないようにしてください。
敷金と礼金が不要でも何か追加費用がかかることや、「◯ヶ月以内の退去には違約金が発生」など、入居者が不利になるようなことが書かれているかもしれません。初期費用が抑えられてお得感のある敷金と礼金がない物件でも、トータルで見たときには通常の賃貸物件より損をしている可能性もあります。
住んでから不利な契約に気がつき、異議を申し立てても「契約書に書いてあるから」と門前払いされるでしょう。敷金と礼金が不要のお得感のある部屋を選んで後悔しないためには、契約書をしっかり確認することは大切ですね。
マンスリーマンションは「敷金礼金なし」物件
敷金と礼金のない物件のメリットとデメリットをご紹介してきました。賃貸物件情報サイトで、「敷金礼金なし」の条件にチェックを入れて探そうとしていませんか。もちろんその方法でもお部屋が見つかります。実は、通常の賃貸の他にマンスリーマンションも敷金と礼金がかかりません。マンスリーマンションも候補に入れてお部屋探しをしませんか。
初期費用の負担軽減
マンスリーマンションの最大のメリットは、敷金と礼金が不要なことです。仲介手数料も無料なので通常の賃貸よりも大幅に抑えられます。また入居審査が通りやすい点もマンスリーマンションの魅力です。通常の賃貸物件に比べてハードルが低いので、入居審査に不安がある方でも申し込みやすいでしょう。
マンスリーマンションの契約では、保証人も多くの場合が不要です。もし保証人を求められてもクレジットカードがあれば良いとされているケースもあります。保証人を誰かに依頼しなくてもお部屋が契約できるのは、嬉しいポイントではないでしょうか。
ただしマンスリーマンションに入居時には、居住期間分の家賃をまとめて支払う必要がある点に注意してください。一括で支払うのが厳しい方は不動産会社に相談すると、分割払いや月払いなど柔軟な対応を提示してもらえるかもしれません。
家具家電付き
初めての一人暮らしは、生活に必要なものを何も持っていないので家具家電を買いそろえるところから始める必要があるでしょう。安い価格帯のものを買っても、たくさん買うとそれなりの値段に。今まで賃貸物件で暮らしていた方でも、新しい住まいへの引っ越しは「持っている家具家電が置けるのか」「搬入経路に問題はないか」など心配事は尽きません。買いそろえなくても、何かしらの不安はありますよね。
マンスリーマンションには家具家電がすでにお部屋に完備。引っ越し作業は、カバン1つでできるぐらい簡単に終えられます。今後別のところに引っ越す際も、家具家電は部屋に置いたままにできるのです。また水道や電気、ガスのライフラインの開通手続きが不要な点もマンスリーマンションの嬉しいところ。入居したその日から、不自由なく生活ができますよ。インターネットが無料のお部屋もあるので、動画や音楽の視聴、テレワークも可能です。
スムーズに住み始めるなら、マンスリーマンションを要チェック
敷金と礼金は、家賃の1〜2ヶ月分が一般的な相場です。敷金は家賃滞納時に備えたり退去時の原状回復に使われたりするためのお金です。礼金は大家さんへのお礼を意味するもの。退去時には敷金が余れば返却されますが、礼金は返ってきません。初期費用の負担が数十万円もするため、入居希望者にとっては大きな負担です。敷金礼金をなしにして、物件の稼働率アップを狙う大家さんもいます。
人気のあるエリアや間取りは、わざわざ敷金と礼金をなしにしなくても、契約する人は現れるでしょう。ゼロ円に設定されているのには、何らかの事情があるはずです。内見時に、室内設備や周辺環境などに問題がないかをよく確認してから契約してくださいね。
お部屋探しから入居までスピーディーに進めるなら、マンスリーマンションがおすすめです。通常の賃貸物件の中から「敷金礼金なし」を選ぶより、ややこしさが少ないでしょう。料金体系がわかりやすいので、「何か費用が加算されているけれど、何のお金だろう・・・?」とモヤモヤすることもありません。マンスリーマンションで、楽に新生活をスタートしましょう。