【歴史シリーズ】「新宿」の名前の由来。アジア随一の繁華街が生まれた流れをまとめて紹介。
東京最大級の繁華街を擁し、昼も夜も賑わいを見せる新宿。高層ビル群や百貨店、飲食店が所狭しと立ち並んでいる新しい街というイメージが強いのではないでしょうか。しかし新宿の歴史は意外にも古いんです。
新宿が今の姿にいたるまでどのような歴史を歩んできたのか、気になる方も多いでしょう。そこで今回は新宿の名前の由来や歴史を振り返りながら、街の魅力に迫っていきたいと思います。
新宿とはどんなところ?
新宿は言わずと知れた東京を代表する都市であり、渋谷と池袋に並ぶ「3大副都心」のひとつです。新宿・渋谷・池袋という個性豊かなこれら3つの街は、都心3区と呼ばれる千代田区・港区・中央区とは違った存在感があります。
新宿駅の平均乗降客数は1日あたり約350万人で、なんと世界1位!これはギネス記録にもなっています。乗り入れている路線の数はJR、地下鉄、私鉄を含めて11路線という巨大ターミナルです。少し離れたところには「西武新宿駅」もあり、埼玉県川越市まで結んでいます。新宿駅から都内主要エリアへのアクセスも良好で、渋谷駅5分、池袋駅6分、東京駅13分です。
新宿は駅の東西南北で個性的な特色を持っています。新宿駅の西側、西新宿エリアには新宿住友ビルや新宿パークタワーなど高層ビルが立ち並び、多くのオフィスワーカーが行き交います。パリのノートルダム大聖堂をモチーフにした東京都庁があるのもこのエリア。展望台・美術館・公園も点在しているので、観光スポットや散策スポットとしても人気です。
国内有数の歓楽街。幅広い年代に愛されるショッピングエリア。
駅の東側は歌舞伎町をはじめとした日本で有数の歓楽街です。飲み屋ばかりと思いきや、最近はエンターテイメント施設なども増えていて、大人の遊び場になっています。2023年には新宿TOKYU MILANO跡地に「東急歌舞伎町タワー」が誕生予定。ホテルや映画館などからなる複合施設で、歌舞伎町の魅力は今後よりいっそう高まっていきそうです。
南側はそこまで範囲が広くないものの、戸建て住宅が多い閑静な住宅街になっています。代々木駅も利用できるので、住みやすいエリアです。
北側はコリアンタウン新大久保に近い立地。韓国発のカフェやグルメを楽しめると若年層の女性たちに人気です。新大久保をさらに北に行くと西早稲田や下落合など落ち着いた住宅街が広がっています。
新宿駅周辺はショッピングスポットも豊富で、老舗デパートは「伊勢丹新宿店」「新宿タカシマヤ」「京王百貨店新宿店」「小田急百貨店新宿」というそうそうたる顔ぶれ。若者向けの「新宿マルイ本館」「ルミネ新宿店」「ルミネエスト新宿店」も多くの買い物客で賑わいます。
さまざまな世界観がぎゅっと詰まった新宿は、幅広い年代の方に愛されています。気分にあわせていろんなエリアに行けば、つねに新たな発見があり、ワクワク感を楽しめるでしょう。
新宿の名前の由来とは
新宿の歴史を振り返るにあたり、「新宿」という名前の由来について調べてみました。
甲州街道に新しくつくられた宿場が由来
江戸時代の1603年(慶長8年)に、徳川家康が日本橋を起点とした五街道を整備します。それが東海道・中山道・日光街道・奥州街道・甲州街道の5つで、各街道にはそれぞれ宿場が置かれていました。日本橋から甲府につながる甲州街道は、最初の宿場である高井戸まで距離があり旅人にとって厳しい道のりでした。そこで1698年(元禄11年)、日本橋と高井戸の中間地点に新しく宿場をつくったのが新宿のはじまりです。
当初の呼び名は「内藤新宿」
宿場をつくった場所にはもともと信濃高遠藩の藩主であった内藤氏の下屋敷地があったことから、当初は「内藤新宿」と名づけられたそうです。下屋敷があった場所は現在の新宿御苑にあたり、屋敷内の池であった玉藻池は今も新宿御苑に行けば見ることができます。そして現在の新宿通りの一帯が宿場町として繁栄していました。新宿御苑付近には内藤町という町名があり、今も内藤氏の名前が残っています。
四谷・牛込・淀橋の合併により新宿区が発足
現在の新宿区が発足したのは、1947年(昭和22年)のことです。区の名前の決定には時間を要しましたが、「内藤新宿」という歴史的な由来があったこと、新宿御苑や新宿駅など新宿という言葉が全国的に有名であったことを踏まえ採用されました。今の新宿がエリアごとにさまざまな表情を持っているのも、この合併が影響しているといえるでしょう。
新宿の歴史とは
平安
平将門が藤原秀郷に討たれた平将門の乱は、聞いたことがあるという方が多いのではないでしょうか。新宿には築土神社や鎧神社など平安時代に建立された神社が多く、将門伝承の地も多いです。1083年に源義家が建立した厳嶋神社も、現在の東新宿にあります。
江戸
新宿の由来となった内藤清成は徳川家康に仕え、甲州街道と鎌倉街道の交差する現在の新宿二丁目付近で警備にあたりました。この功績を称えられ、警備していた一帯を拝領します。拝領にあたり家康が「馬一息で駆け巡るだけの範囲を与える」と伝えたそうです。清成はそれを聞いて、四谷〜代々木〜千駄ヶ谷〜大久保という広大な範囲を馬に乗って駆けたという逸話が残っています。
そしてこの跡地に宿場ができ、内藤新宿と呼ばれるようになりました。やがて新宿は品川・板橋・千住といった宿場町とあわせて四宿(ししゅく)と呼ばれるように。行楽地として人気を博し、歓楽街・新宿の原型がかたちづくられます。
明治
明治維新後、内藤新宿の土地は大蔵省によって買い取られました。そして海外の果樹や野菜を日本で栽培できるか試すための「内藤新宿試験場」として利用されることに。この試験場は、現在の新宿御苑の前身です。
1885年(明治18年)には後の山手線にあたる日本鉄道品川線が開通。しかし当初の乗降客数は、たったの50人程度だったというから驚きです。その後甲武鉄道や東京市街鉄道、京王電気軌道など、乗り入れる路線が増えていきました。
1923年(大正12年)の関東大震災では、新宿方面の被害は比較的少なくて済みました。震災後は強固な地盤を求めて新宿駅周辺の繁華街に人や交通が集中します。新宿伊勢丹本店や映画館、劇場などができたのはこの頃です。
昭和
第二次世界大戦で新宿は東京大空襲の被害も受けました。とくに今の歌舞伎町一帯は、戦災で焼失。終戦後は闇市が軒を連ね、商文化が発達していきます。政府の闇撲滅運動により闇市は撤退しましたが、今度は小売店や商店街がオープンして活況を呈しました。
1960年代には百貨店が続々と新宿に拠点を構え、現在の新宿の姿に近づいていきます。さらに1970年代には西新宿エリアで高層ビルの開発がスタート。同時に地下鉄や地下街も発展していきます。こうして新宿は世界的にも知られる都市として成長したのです。
新宿が選ばれている理由
新宿には老若男女問わず幅広い層の人々が訪れます。さらに外国人観光客にも絶大な人気を誇るスポットです。なぜ新宿は多くの人々に選ばれているのでしょうか。ここからはディープな新宿の魅力や住みやすさを徹底解剖します。
日本の文化を体感できる街
新宿は今も昔も多くの人々が集まる場所だったので、歴史とともに多彩な文化を育んできました。街の各所には文化財や伝統工芸が残っています。さらに著名な文化人が通ったお店など身近な距離で日本文化を味わえるのが魅力です。
新宿区矢来町にある「矢来能楽堂」は、国の登録有形文化財。1945年に戦火で焼失した「観世九皐会(かんぜきゅうこうかい)能楽堂」を1957年に再建したものです。総檜造りの能舞台は美しく保存され、能文化を後世に継承し続けています。
「東京染ものがたり博物館」は1914年創業の富田染工芸が運営する博物館で、新宿区西早稲田にあります。工房見学では、創業当時から受け継がれた伝統の技を目の前で見ることが可能。染物体験もできるので、伝統工芸に馴染みのない方もその魅力を発見できるかもしれません。
そして人気が急上昇しているのが、新宿区歌舞伎町の「新宿ゴールデン街」です。ここは、戦後に駅前からの撤退を余儀なくされた闇市の代替地でした。細い路地には今も200軒を超える店舗が営業中です。作家の中上健次や寺山修司、俳優の松田優作など文化人が足しげく通った街としても一躍有名に。このように新宿は、新旧の日本文化のエッセンスが散りばめられた街なのです。
利便性を重視する暮らしにフィット
新宿は利便性を重視したい方にとって、とても住みやすい街です。交通アクセスについては、複数路線で都内を縦横無尽に移動できます。また新宿高速バスターミナル「バスタ新宿」もあり、九州地方や東北地方までバス1本で行けます。新宿に住めば移動の負担を減らせるので、お仕事で外出や出張が多い方に人気です。
平日だけでなく休日にも、交通アクセスの良さをフル活用できます。高速バスで都会の喧騒から離れて自然を満喫しに行くことも可能。小田急線の新宿駅から特急ロマンスカーで箱根旅行に行くのも良いですね。新宿を起点として休日の行動範囲も広がること間違いなしです。
新宿御苑や新宿中央公園といった広大な緑地があるのも、新宿の魅力。忙しい日々を送っている人々を癒してくれる、まさに都会のオアシスです。ランニングやウォーキングなど思いっきり体を動かすこともできます。家の近くにこのようなリフレッシュできる場所があれば、仕事も頑張れそうですね。
「新宿は賑やかすぎて住みづらいのでは」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、代々木や千駄ヶ谷に近い南側のエリアは、治安も良く落ち着いていて住みやすさが評価されています。
新宿のオススメスポット
「東京オペラシティ」は、一つの建物にたくさんの楽しみが詰まった新宿のオススメスポット。新宿駅から甲州街道を進んだ先の西新宿3丁目にあります。京王新線「初台駅」からは、わずか徒歩1分のアクセスです。
地上54階・地下4階の巨大なビルのなかに、オフィス・コンサートホール・劇場・美術館・ショップ&レストランといった多彩な施設が入っています。1996年にタワーとコンサートホールが竣工し、1999年に全体竣工を迎えました。東京の超高層ビルの先駆け的な存在です。ここからは東京オペラシティの見どころを施設ごとに解説します。
まず最初にご紹介したいのが、コンサートホール「タケミツメモリアル」です。このホールでは天然木の内装や最新の音響技術が見どころです。ピラミッド型に組まれた天井は大きな楽器としての役割を果たしていて、空間全体に艶やかな音色が響き渡ります。贅沢な空間で上質な音楽をお楽しみくださいね。
「新国立劇場」ではオペラ・バレエ・ダンス・演劇など、さまざまな舞台芸術が披露されています。3つある劇場は、どれも特徴的。年間公演回数は600ステージ以上と目白押しです。
続いては近代・現代アートを中心に作品を展示している「東京オペラシティアートギャラリー」です。絵画・彫刻・写真・映像・デザイン・ファッション・建築など、数多くのジャンルの企画展が開催されます。広々とした空間でゆったりとアート作品を堪能できますよ。
歩き疲れたら53階にある展望レストラン「cafe53」で一息つきませんか。超高層ビルならではの眺望をバックに、美味しいお食事を味わえます。日が落ちてきたら、ロマンチックな夜景も楽しめます。
さらに東京オペラシティは無料で楽しめる場所も充実しているんです。「新国立劇場」につながる大階段には、赤く光るデジタル数字が。これは宮島達夫氏の「Time Passage」というアート作品の一つです。オフィスロビーの吹き抜け空間では、川上喜三郎氏のアート作品「エアーダンス」が黄金色に輝いています。ほかにもアート作品がところどころに隠れているので、ぜひ探してみてくださいね。
人々と文化を受け入れてきた懐の深い「新宿」
「新宿」の由来と歴史、いかがでしたか?昔からさまざまな人々や文化を受け入れてきた懐の深さこそが、今の新宿の魅力につながっているのではないでしょうか。
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